PCUには電流をON/OFFする多くのパワー半導体が使用されており、1個で最大200Aの大電流を流し、最大1200Vの高電圧を絶縁します。
反面、パワー半導体はHVの電力損失の約20%を占めており、高効率化により燃費を向上させる余地が有るとされています。
そこで同社はデンソー、豊田中央研究所と共同でパワー半導体の性能を大幅に引き上げると共にPCUの大幅小型化を実現すべく、これまでのSiパワー半導体に代わる「SiCパワー半導体」を開発しました。
「SiC」はシリコンと炭素の化合物「シリコンカーバイド(炭化ケイ素)」の略で、電力損失が少なく電気エネルギーの有効活用が可能となります。
その理由はシリコンパワー半導体に比べて「SiC」では電流OFF時に残留するテール電流の発生が無く、損失が小さいことから、制御の高周波化が可能となり、低燃費化、PCU小型化に繋がるという訳です。
今回の走行実験車はカムリHVをベースにしており、PCUの昇圧コンバーターとモーター制御用インバーターに「SiCパワー半導体」を搭載。
小型化されたPCUは従来との体積比で1/5程度と、鉛バッテリー並みのサイズとなっています。
トヨタでは今後、2020年前後からの市販車への搭載に向けてSiCの長期信頼性などの検証を進めるそうです。
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