BMW i3が雪上でも駆けぬける歓びを感じられたのは専用スタッドレスタイヤもその理由だった!

五味康隆さんをテスターにBMW i3の雪国での実力を栃木県奥塩原で行った編集部。その結果、雪上でもBMWのDNA「駆けぬける歓び」が体感できることがわかりました。

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i3自身が持つ基本性能の高さがそれを可能としているのですが、ブリヂストンが開発した専用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK NV ologic(ブリザック エヌブイ オロジック)」の存在も大きく貢献していたようです。

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 そこで五味さんをインタビュアーに、ブリヂストンタイヤジャパン株式会社 消費財マーケティング本部、渡部亮一さん(写真右)にタイヤについての話を聞いてみました。

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 五味:“BLIZZAK(ブリザック)”は高い認知度を誇るスタッドレスタイヤですが“ NV ologic(エヌブイ オロジック)”とはどういうタイヤなのですか?

 渡部:i3のような次世代車両に向け、狭幅+大径を採用し燃費に貢献するという新たなコンセプトで開発したのがologicで、そのコンセプトを受け継いでスタッドレス化したのがこのタイヤです。ちなみにNVとは「ニュー・ビークル」の略ですよ。

 五味:タイヤの幅がここまで細くて大丈夫なのですか?

 渡部:結論から先にいうと、大丈夫です! なぜかというと、このタイヤは狭幅にしたことで路面との設置面積が減ってはいるように見えますが、大径タイヤにしたことで設置形状が横長から縦長になり面積は変わっていません。合わせて、雪道で滑る原因となる水膜をゴムの中に入った気泡が効果的に排除し確実にグリップを発生させるBLIZZAKの技術を搭載しているからです。

 五味:走行中に気づいたのですがologicの隠れた魅力かなと思ったのは、タイヤの径が大きい(19インチ)ためか段差を乗り越える力が高いですよね。

 渡部:路面は平らではなく凹凸がいっぱいありますので、あらゆる路面に強いタイヤを目指したことがタイヤの径を大きくした理由のひとつです。

 五味:凍結路を走っていても静かだなという印象も受けましたよ。

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 渡部:表面に発泡ゴムという柔らかい素材を使っていて、路面を叩く力を低減できているのが静粛性に効果がある理由だと思います。

 

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 滑りにくく、荒れた路面に強いだけでなく、静粛性に優れている“BLIZZAK NV ologic”はエンジン音がしないi3にはぴったりのスタッドレスタイヤといえますね。

 インタビューを終えた五味さんにi3と“BLIZZAK NV ologic”の印象を聞いてみました。

 「早朝からi3を試乗してきましたが、“BLIZZAK NV ologic”について良い印象をうけました。読者のなかにはi3や“BLIZZAK NV ologic”のような新しい製品を不安に感じる人がいるかもしれないですが、いま聞いたタイヤ作りの理論や私のインプレッションを参考に判断してもらえればと思います」

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試乗を終え、前線基地である宿舎に戻った時間はすでに夕方になっていました。奥塩原温泉には充電設備を持つ旅館がいくつもありi3もここで充電を行います。

充電中のi3を前に、今回の総括を五味さんにしてもらいました。

 「朝からいままでずっと走っていたi3の電気はだいたい半分くらい消費していました。相当アクセルを踏んでいたにもかかわらず残り半分という電費はけっこう優秀だと思います。奥塩原のような大自然が広がる場所では、i3のような環境負荷がないゼロエミッションカーは大きな魅力ですね。ここの温泉地のように200Vの充電器が備わった観光地は増えているようですので、i3で旅行へ行く人に有効ですし、雪上性能が高かったため普段雪国で暮らしている人にも、もちろん使いこなせるクルマだと思います」

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■五味康隆(モータージャーナリスト)

自転車のトライアル競技で世界選手権に出場し、4輪レースへ転向。全日本F3選手権に4年間参戦した後、モータージャーナリストとしての執筆活動を開始。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

(テヅカ・ツヨシ)