ベースのX3よりも15mm長い全長はデザインの違いで、全幅とホイールベースは同値ですが、全高は50mmも低くなっています。
全高を抑えたぶん、重心が低くなり、ヒップポイントも30mmほど下げられていますから、ドライビングポジションはSUVとしては低めながらも、周囲のセダンなどを見下ろす高さは確保されています。
走りでは、「100:0」から「0:100」まで駆動力配分を行うxDriveと連動し、コーナリング時のハンドリングと安定性を向上させる「パフォーマンス・コントロール」を全車に標準で搭載するのが見どころ。
X3は上級仕様にのみ標準の「パフォーマンス・コントロール」は、コーナー走行時にアンダーステアが出そうになると、内側の後輪に軽くブレーキを掛けつつ、外輪に多くのトルクを配分する、いわゆる「トルクベクタリング」です。
さらに、ステアリング操作に対して前輪の切れ角を最適化する「バリアブル・スポーツ・ステアリング」も標準。
両装備による効果なのか、単独なのかコーナーごとでの作動性や違いは察知できず、コーナーの大小や速度域に関わらず、ボディサイズと車両重量を感じさせないフットワークは驚きそのもの。
しかも「バリアブル・スポーツ・ステアリング」は、出はじめの頃の「アクティブ・ステアリング」のような、低速時での違和感もほとんど感じられません。
試乗した「xDrive35i」の3.0Lエンジンは、全域に渡って不足はないどころか、日本の公道では使い切ることは不可能でしょう。しかもやはり直6はいいな! と思わせる滑らかな加速フィールまで味わえますからこれは贅沢。
そして、現在のベストなATのひとつといえる、8速スポーツATの組み合わせによる洗練された走り。背の高さと高めの視界が不思議に思える、俊敏ぶりです。
■SUV離れしたBMW X4の豪快な走りっぷり【BMW X4 試乗記01】
https://clicccar.com/2014/09/05/267333/
(塚田勝弘)