トヨタ86、進化の理想と現実

トヨタがスポーツカーを文化として育てていく、そのための車両として発売されたトヨタ86。発売から2年以上を過ぎ、進化のカタチも様々に見えてきました。

昨年は2つの方向性として、大人の乗れるスポーカーとして、質感の高いインテリアを中心にグレードアップさせたトヨタ紡織が手掛けたSTRAIGHT Signorile Sportと、近未来風のエクステリアをまとったJ-TACSのサイオンFR-S。

TOYOTA86FactryTune002_10

今回はこの2台のイイとこ取りをしたような車両で、車名は一昨年の「Factory Tune 001」の第2弾として「Factory Tune 002」が展示されています。

外観は、スムージング(ボディの凹凸を極力なくすカスタマイズ方法)のようになるべくシンプルにし、メタリックなシルバーを基調とした前後のアンダーバンパー、左右のドアミラーが引き締めます。

インテリアでは質感の高いシートはブラックを基調にホワイトのステッチが大人のスポーツカーを演出しイメージをあわせたトリム類とともに、ひとクラス上の雰囲気を持たせています。メーターパネルはスポーティなアルミ調として、ポイントにレッドの部分を効果的に配色し大人の雰囲気と走らせる気持ちを併せ持たせています。

現状で発売などの予定はないとのことですが、ぜひ市販化に向けプロジェクトが進むことを祈りたいです。

メーカー(Factory)でなければ実現しづらい部分に手を加えた、言わば理想の86の進化のカタチです。

また、より現実的ながら効果的にスタイリッシュに変身するカスタマイズも展示されています。

86 My Styleがそれで、大幅なイメージチェンジなのに、実は大掛かりな施行ではないといいます。

86My_Style_01

外観は塗装では何かと大変なつや消し調のカラーリングながら、これをラッピングで実現。細かな柄に見える部分も様々なシートを貼ることで、多彩な個性を表現しています。

インテリアも、前後ともにシートをひとクラス上のものに交換・・・したように見えますが、これがなんとシートカバー。座った感じも厚手のクッションが採用された高級車のシートに近く感じ、シートカバーにありがちなズレやスキマからの本来の表皮が覗くといった「ネタバレ」はほぼ皆無のようでした。

これなら現実的に大幅なドレスアップが可能になりそうです。

まだまだ様々な進化の余地がありそうなハチロクですが、メーカー、アフターマーケットともに盛り上がり、スポーツカーの文化が根付かせるというトヨタの狙いは、ここへ来て盛り上がりが眼に見えてきている感がありました。

(小林和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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