日本では1990年のエスティマの発売以降、スタイリッシュで室内空間が広いミニバンブームが到来。
車体の大きさ故に車両価格が高い事に加えて利幅も大きいことから、自動車各社は競ってミニバンを投入。マイカーの大型化が一気に進む中、それまで主役だったセダンの存在感が薄くなる結果に。
そんなおり、2011年3月に東日本大震災が発生。
ガソリンの供給量不足や燃料価格の高騰から節約ムードが急速に広がり、大型ミニバンに1、2名で乗る事への抵抗や燃費への感心の高まりから、やがてユーザーの関心はアクアやフィットなどのコンパクトHVにシフト。
こうして国内新車市場は「HV化」と「コンパクト化」が加速し、さらには維持費の安さから「軽」の比率が乗用車全体の約4割を占めるまでに拡大。
自動車各社はかつてのようにセダンを作っても売れないことから、開発が手薄に。
そのスキを突くかのように、欧州勢がエンジンのダウンサイジング+ターボで低燃費と高性能を両立、エントリーモデルを中心にデザインや走行性能で日本車に勝るモデルをお値打ち価格で次々と投入、国内市場でシェアを拡大しつつあります。
昨年BMW 3シリーズのセダンを購入した顧客のうち、約3割が国産車からの移行層だったそうで、メルセデス・ベンツやアウディなどの販売も好調なことから、高級セダン販売の約半数は輸入車との情報も。
2013年(1‐12月)人気輸入セダン販売台数
BMW 3シリーズ セダン 18,739台(1,562台/月)
メルセデスベンツ Cクラス 12,238台(1,020台/月)
メルセデスベンツ Eクラス 9,423台( 785台/月)
BMW 5シリーズ 6,360台( 530台/月)
※( )内は月平均の販売台数
ちなみに昨年国産セダンの販売上位を占めたのは以下のモデルとなっています。
2013年(1‐12月)人気国産セダン販売台数
カローラ 101,664台(8,472台/月)
クラウン 82,701台(6,892台/月)
アテンザ 22,388台(1,866台/月)
そんな輸入セダンに押され気味の中、今後自動車各社はどんな戦略で臨もうとしているのでしょうか。
その答えは昨年お伝えしたとおり、「HV化によるセダン復権」となるようです。
新聞報道によると、輸入車に需要が流れているセダン市場の奪回に向けてホンダと日産が車種の品揃えを充実させると共に、販売網の拡充で反転攻勢を狙う模様。
ホンダは総額1,000億円を投じて全国2,200店のうちセダンの販売に重点を置いた店舗を強化する予定とか。
都市部を中心に「アコードHV」を扱う「クオリティセレクト」店を2017年までに現状の170店舗から5割増となる250店体制に増やす計画と言います。
秋頃の発売が噂されるフラッグシップセダン「レジェンドHV」や「フィット」ベースのHVセダンが同店舗に投入される模様。
一方の日産も6月中を目処に150店をセダン販売の強化店に位置付けるそうで、「フーガ」、「ティアナ」などのセダンや、5日に発売されたスカイライン「2000GT-t」を含めて上級セダンの販売を強化。
トヨタがReBORNさせた「クラウンHV」セダンの販売が好調に推移する中、今後は各社がセダンのHV化で巻き返しを図ることになるようです。
■HONDA QUALITY SELECT店 Webサイト
http://www.honda.co.jp/qualityselect/
■日産 スカイライン Webサイト
http://www2.nissan.co.jp/SKYLINE/SUMMARY/
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