GMが開発中のFCVで技術力を積極アピールした背景は?

ホンダとFCV(燃料電池車)を共同開発中のGMが今月7日、自社製の実検車両119台を投入した実証実検「Project Driveway」で累計480万kmを走破したと発表。 

Chevrolet _Equinox_Fuel Cell

実証実験に使った車両は市販ガソリン車の中型クロスオーバーSUV「Chevrolet Equinox (シボレー・エクイノックス)をFCV化したプロトタイプ車。 

GMの発表によると、2007年に北米の公道で開始した実検で平均約5,000L/台のガソリンを節約、最も長く走行した車両の走行距離は約19.3万kmに達している模様。 

5000人以上のドライバーが参加してFCVの機能性や運転性を開発チームにフィードバックしたそうで、7シーズンの冬を経験、様々な環境条件に於いて市場の要求を満たす事を確認したと言います。 

Chevrolet _Equinox_Fuel CellChevrolet _Equinox_Fuel Cell

同社は昨年7月、FCV実用化に向けた共同開発でホンダと長期契約を締結。 

米国で発表されている「クリーン・エネルギー特許成長指数」で両社は2002年‐2012年に於ける燃料電池関連の米国特許を1200以上保有しており、その数で2013年ではGMは1位、ホンダが2位のポジション。 

HONDA_FCV

共同開発ではこうした両社の知見を共有することで、小型・軽量化を図った次世代の燃料電池システムや水素貯蔵システムを開発するのが最大の狙い。 

またスケールメリットを活かしたシステムのコストダウンも重要な目的の一つ。 

GM_HONDA

GMは1960年代からFCVの研究をスタート、昨年にはミシガン州にあるパワートレーン・ワールド本部に新たに最先端の燃料電池研究開発所を開設するなどFCVに注力。 

同社の技術力を大いにアピールすることとなった今回の発表は旧体制時に発生した重大不具合の責任問題が取り沙汰されている最中だけに、見方によっては悪化した企業イメージを先進技術への取組みで一掃したいという思いの表れともとれそうです。 

■GM 公式サイト  FCV関連ニュース 

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 (Avanti Yasunori) 

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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