ロールス・ロイスの作り方

「出力:必要にして十分なだけ」と書かれてきたのがかつてのロールス・ロイスの伝統でした。スペックに限らず、その他の製法、構造などもあまりオープンにされていないのがロールス・ロイスの高貴なイメージを保ってきたのかも知れません。

Rolls-Royce31

しかし、時代が変わったのか、ロールス・ロイスもその中身を積極的にアピールを始めました。

エンジン単体やアルミのフレームなど、初公開のものも多くお披露目されています。

1904年からの創業110年を迎えた記念に、「アイコン・ツアー」を開催。シンガポールを皮切りに東京が2番目、その後数ヶ月かけてソウルへと巡回していくそうです。

アイコン・ツアーでは、最新のラグジュアリー限定仕様車、伝統や代表モデル、オーダーメイドの仕様やアクセサリーなどを紹介していきます。

 

2014年1−6月まで限定「ゴーストVスペシフィケーション」は、ベース車両に対し30bhp最高出力をアップし、その80%の力で100km/hに達するまで4.9秒とのこと。あの巨体がそんなに速く走るって、スゴいですね。

ボディカラーは限定色の5色のほか、4万4000色から選択が可能。コーチライン(ボディサイドに描かれる細い線)には特別なモチーフが添えられます。

21インチのホイール、インテリアには刻印や刺繍がちりばめられ、スチールの象嵌細工なども採用されています。

車名:Ghost V-specification【SWB】 / Ghost EWB V-specification【EWB】●乗車定員:5名●ホイールベース: 【SWB】3,295 mm/【EWB】3,465 mm●エンジンタイプ:60°V型12気筒/48バルブ●最高出力:422kW/601(DIN)PS@5,500rpm●駆動形式:後輪駆動●全長/全幅/全高【SWB】5,400mm / 1,950 mm / 1,550 mm 【EWB】5,570 mm / 1,950 mm / 1,550 mm●最高速度:250 km/h●ハンドル 左●タイヤ :【SWB】前:255/40 R21 後:285/35 R21/【EWB】前:255/45 R20 後:285/40 R20●排気量:6,591 cc●最大トルク:780Nm @ 1,500rpm – 5,000rpm●ミッション形式●電子制御 8速AT●車両重量 【SWB】2,460kg【EWB】2,550kg●0-100km/h:4.9秒●車両本体価格 (消費税込み):【SWB】¥32,550,000/【EWB】¥38,320,000

 

史上もっともパワフルなレイスは、超高級2ドアクーペです。V12エンジンは624bhp(465kw)で0-100km/h加速は4.6秒で走らせます。

インテリアのオプションでは、1340本の光ファイバーを用いた「スターライト・ヘッドライナー」が雰囲気を高めます。しなやかなレザーと、上質なウッドパネルもレイスの特徴です。

車名:Wraith●ハンドル:左/右●乗車定員:4名●全長/全幅/全高:5,280mm/1,945mm/1,505mm●ホイールベース:3,110mm●車両重量:2,650kg●エンジン形式:V型 12気筒 48バルブ●総排気量:6,591cc●最高出力:465kW(632ps)/5,600rpm●最大トルク:800Nm/1,500rpm-5,500rpm●ミッション形式:電子制御8速AT●車両本体価格:¥32,950,000-(消費税込)

 

ファントムは軽量アルミスペースフレームを骨格とし、「魔法の絨毯」と表現されるロールス・ロイスの乗り心地とダイナミックな走りを両立させています。

車名:Phantom●ハンドル:左/右●乗車定員:Ind. seat 4名 Lounge seat 5名●全長/全幅/全高:5,840mm/1,990mm/1,655mm●ホイールベース:3,570mm●車両重量:2,660kg●エンジン形式:60°V型12気筒 48バルブ●総排気量:6,749cc●最高出力:338kw(460ps)/5,350rpm●最大トルク:720Nm / 3,500rpm●ミッション形式:電子制御8速AT●タイヤ:255 / 50R21 106W (前) ,285 / 45R21 (後)●車両本体価格:¥50,140,000-(消費税込)

 

今回、東京にはこれらの伝統技術を受け継ぐ職人が英国グッドウッドのロールス・ロイス工場から来日しました。

コーチラインなどペインティングを担当するマーク・コートさん、刺繍など革への装飾を行うハナ・クリアさん、それに全体の品質管理を担当するウルス・メーナーさんです。

ボディサイドのラインなど、マーク・コートさんが一台ずつ手でラインを描いているのです。普段使用する筆はリスの毛からできているものだとか。

ハナ・クリアさんが担当する刺繍は、オーナーがそれぞれのこだわりを持ってオーダーされるもので、やはり1台ずつ丁寧に創られているのだそうです。

これら手作りの良さをキープしながら、最新の各国の安全、環境などの法規制にもマッチさせていく事は大量生産よりも難しい部分もあるでしょうが、それがロールス・ロイスの伝統を支えているのだと実感することができました。

(小林和久)

 

 

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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