三菱と日産の企画開発会社「NMKV」が、三菱ekワゴン(日産デイズ)に続いて開発したのが新型ekスペース(デイズルークス)です。スーパーハイトワゴン市場への参入で、三菱が最もこだわったのが室内高でした。そこにはかつて初代ミニカトッポが、ヤングファミリーのカーライフから見出だしたファミリー・ニーズがあったのです。
■ミニカトッポで見出だしたニーズを貫け!
開発責任者の後CPM(チーフプロジェクトマネージャー)は、ekワゴンでも開発の指揮を執った三菱屈指の軽スペシャリスト。新型ekスペースの開発では「小学校5年生が立って着替えのできる140cm以上が必須である!」と主張。これはかつてミニカトッポが見いだしたファミリー・ニーズなのですね。中には反対意見もあったそうですが、こういう「こだわり」が、クルマに魂を吹き込むのですゾ〜。
■リアフロアは後席優先の専用設計
新型ekスペースでは、スズキのエネチャージに相当する電力回生システム「アシストバッテリー」を採用。燃費改善は2%ですが、それでも絶大な特効薬効果とのこと。ただターボに付かないのは、ちょっこし残念。バッテリーはニッケル水素を採用して、コストを抑制。ボディ構造では板厚を上げる等で剛性を確保すると共に、リアフロアをekスペース専用に作り替えて後席の居住性と使い勝手を充実させました。
■レリーフのようなボディ側面の立体感
スーパーハイトワゴンは、ガラスエリアがボディ鋼板と同じくらい広いですよネ。新型ekスペースではガラスに負けじと、平坦なボディ側面にサイドラインやリアフェンダーをレリーフのような凹凸で造形。またリアのショルダーラインをキックアップさせて、抑揚感を演出しています。もちろん定番の表裏戦略も健在。標準車のチャーミングなマスクに対し、カスタムはD:5譲りの強面顔を採用して、個性を造り分けています。
熾烈を極める軽自動車の開発競争ですが、約24年前に突然変異(失礼)のように登場してヤングママから強く支持されたミニカトッポが、実は新型ekスペースの室内高を定義付けているのですネ。「四半世紀前から変わらないニーズ」を目の当たりにして、クルマの開発とは本当に奥が深いとあらためて実感した次第です。
(拓波幸としひろ)