5月発売予定のスバル・レヴォーグ。予約受注開始から3月末時点で受注台数は1万3000台くらいになるのでは、という見通しも決算発表でされたようですが、少なくてもWEBや自動車雑誌での期待値はかなり高いものがあります。
ツインリンクもてぎで開催されたプロトタイプの試乗では、「よくまとまっているけど、強烈なインパクトに欠ける」なという印象も正直受けました。
確かに、300psの2.0L直噴ターボの加速力は強烈で、サーキットでも踏み切る前にコーナーが迫るほど。170psの1.6Lの直噴DITターボもまったくパンチ不足を感じさせないほど十分に速い。ハンドリングもスポーツカーのようで、ワゴンでここまで必要なのかと後席に座っていると思ってしまいます(運転席ではうれしいですが)。
1.6Lターボはレギュラーガソリンなのもうれしいところではありますが、「ダウンサイジングエンジン+ターボ」の組み合わせの割に燃費は17.4km/Lが最高で、受注状況から人気だという「1.6GT-Sアイサイト」は17.0km/L。
ライバルと目されるマツダ・アテンザワゴンは、2.0L NAを積む「20S」が17.4km/L、2.5Lの「25S Lパッケージ」が16.0km/L。
実燃費がどうなるか分かりませんが、ATよりもモード燃費で有利と言われているCVT(リニアトロニック)であることも考えると、もう少し頑張って欲しいところ。しかし、レヴォーグは4WDということもあり1520〜1560kgと、1450kg〜1530kgのアテンザよりも車両重量が重いことを差し引いて考えるべきだとは思いますが……。
もちろん、アテンザワゴンにも死角はあります。全長4800×全幅1840×全高1480mmは、レヴォーグの全長4690×全幅1780×全高1485(1490)mmよりもひと回り大きく、とくに全幅は狭い住宅街などでストレスなく使うにはかなり大きめ。
最小回転半径は5.5mのアテンザに対して、レヴォーグは5.4〜5.5mとほぼ同じですが、Aピラーの形状や三角窓の大きさ、サイドウインドウ下端の高さなどを考えるとレヴォーグの方が取り回しはしやすく感じます。
後席の広さでは、ホイールベースが2650mmのレヴォーグ、2750mmのアテンザワゴンの差がそのまま出ている印象で、膝前スペースはアテンザワゴンの方が余裕を感じさせますし、アテンザワゴンは前席下に足を入れられますが、レヴォーグはかろうじてつま先が入る程度。前席に長身の人が座ると、後席の足元は少し狭く感じるかもしれません。
横方向もワイドなアテンザの方が余裕はありますが、2人掛けなら問題はないにしても、3人掛けをするなら当然ながらアテンザに軍配が上がります。
荷室では、レヴォーグは床下のサブトランクが大きくなり、現行レガシィの520Lから522Lと僅かに拡大(最大時は現時点で未公表)。
アテンザワゴンは506Lで、後席を倒せば最大で1648Lを確保。積載性や容量ではレヴォーグの方が若干上回っているといえます。
(塚田勝弘)