このところ日産は、ノートとティーダ、エクストレイルと米国のローグをそれぞれ統合したように、車種統合を推進しています。特に今回の新型ティアナでは、中国市場で人気のティアナと米国市場で実績を積んだアルティマを統合。ネットによる世界的な嗜好の共通化を踏まえ、双方の長所を織り込んだグローバルカー開発に取り組んだのです。
■中国と米国のトレンドを日本流にアレンジ
新型ティアナ開発責任者の天田CPS(チーフプロダクトスペシャリスト)は、世界トレンドが、ネットの影響で共通化しつつあることに着目。また2台を1台に集約すれば、より密度の濃い開発が可能になるのですね。そこで、中国で「おもてなしの高級感」が人気のティアナと、米国で「若々しい躍動感」が評判のアルティマとの統合を決断。新型ティアナは、「日本流おもてなし」を仕込んだ世界戦略車として開発が進められました。
■デザインの源泉は、次世代セダンコンセプトの「エリュール」
新型ティアナのデザインは、先代ティアナとアルティマを融合したというよりも、2010年のロサンゼルスショーで公開された「エリュール」がベースになっています。「エリュール」自体、日産の新世代セダンを表現したコンセプトカーでしたから、さもありなんという感じです。新型ティアナは塊感のあるダイナミックな造形で、ティアナの高級感とアルティマの躍動感が、見事に織り込まれています。
■直4化と新開発リアマルチリンクサスで躍動感を訴求
エンジンは、従来のV6から直4の2.5Lに変更。フリクションの低減や低回転域のトルクアップにより、燃費とドライバビリティを大きく改善しました。トピックスはリアのマルチリンクサスで、リンクにコネクトブッシュを加えることで、リアタイヤに四輪操舵のような動きを与えることに成功。日産は、FF車のハンドリングに重要なリアサスで、ハンドリングと安定性を両立する新境地を開拓したといえそうです。
写真ではコンサバな印象を受ける新型ティアナですが、実車はフロントグリルからショルダー、リアへ繋がる抑揚のあるサイドラインが美しく、存在感のある造形となっています。日産の新世代FFグローバル・ラージセダンの登場に、大いに期待したいと思います。
(拓波幸としひろ)