想像以上にトルクフルで、高速域のパンチ力も排気量を考えると必要十分以上のフォード・フィエスタ。動力性能に関しては「試乗記01」で確認していただくことにして、3気筒で気になるのは音・振動でしょう。
結論からいえば、日本のリッタカーが搭載する3気筒よりも断然静かで、アイドリング時のプルプルという振動もほとんど気になることはありません。
国産コンパクトカーよりも倍近い価格ですからそうあって欲しいのは当然ですが、言われなければ直列3気筒だと分からないほど。
エンジンを上まで回せば室内もそれなりに騒がしくなりますが、音はよく抑えられていて、重量増を避けるためバランスシャフトを装備していないのに振動もほとんど気になりません。
フライホイールとクランクを意図的にアンバランスにすることで振動を相殺するという工夫の成果ということですが、これなら早朝の住宅街などでも近所を気にせず出かけられそう。
1.0Lの直列3気筒「EcoBoost(エコブースト)」エンジンは、229万円という車両価格を考えると、ダウンサイジング、シリンダーレス花盛りのいまでも一瞬躊躇してしまうかもしれませんが、動力性能、音・振動面ではデメリットは感じられず、2012年、13年の2年連続で「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を獲得した実力を十分に実感できます。
(塚田勝弘)