ターボとSトロニックが支えるアウディA3セダンの走り【試乗02】

よく「ゴルフの走りは素晴らしい」なんて言われるじゃないですか。

確かにいいんですよ。でも実は、その上の領域を行くのがアウディです。何がいいたいのか? 日本でも発売されたばかりのCセグメントセダン、アウディA3セダンはとってもよく走る。そして走りは最高に気持ちいいんです。

Audi A3 Tokachi 04

ボトムグレードの「1.4TFSI」に搭載するエンジンは、わずか排気量1.4Lしかありません。いくらターボが付いているといっても、1.4Lという排気量では厳しんじゃない? 車両重量1330kg(1.4TFSI)でちゃんと走るの? と疑問に感じる人もいることでしょう。

まあ、小排気量ターボエンジンを体感したことのない人からすればそんな心配が湧くのも当然だと思います。

しかし、走りを体験すればそんな不安は一瞬にして吹き飛んでしまうはず。だって、普通に速いんだもん。1.4Lエンジンといえども最大トルクの数値を見ると200Nmと2.0L自然排気エンジン車なみ。それでいて最大トルクを1400回転という低回転から発生するから、高回転にいかない日常域でも扱いやすいんですよね。

Audi A3 Tokachi 35

つまり、ベースの1.4Lエンジンでもそこそこ速いんだから、今回試乗した「1.8TFSI quattro」は、もっと走りが鋭いってことです。搭載するのは、180psの最高出力と280Nmの最大トルクを発生する1.8Lのターボエンジン。最大トルクは自然吸気エンジンに例えると2.8Lの排気量と同じくらい。遅いわけがありません。

それでいて驚いたのが、加速がウルトラスムーズなんです。Sトロニック……いわゆるデュアルクラッチだから変速が瞬時。……なんてことは頭ではわかっているのですが、実際に乗るとやっぱりすごい。

ビューン!と加速したときのシームレス(体感的にですが)な加速なんて、まるで変速を忘れているんじゃないかと思うほどのジェントルさ。もう惚れ惚れですよ。それでいて加速はダイレクトで鋭いという、実に不思議な感覚です。なんか離陸するジェット機の加速みたい。

高速道路も走ってみたのですが、快適快適。ドッシリとした直進安定性の凄さは、あまりにも安定すぎちゃってつまらない、なんてバチ当たりな不満が出ちゃうほど。とにかく高速移動が疲れないクルマなのですよね。そんな高速クルーズ性能の高さは、想定巡航速度を日本の制限速度+α程度に設定した国産セダンではあまり味わえない領域。アウトバーンの200㎞/hオーバーも想定したドイツ車ならではといっていいでしょう。運転していて欧州車だなって実感に浸れるのも、このA3セダンの魅力だと思うわけです。

Audi A3 Tokachi 01

「1.8TFSI quattro」の価格は410万円。国産車でもそれだけの値段を出せばけっこういろんな車が買えるのは百も承知ですが、あえてコンパクトで質の高い欧州セダンを選んでみるのも乙なもんです。

Audi A3 Tokachi 37

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(工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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