「ルーテシア ルノー・スポール(R.S.)」には、205/45R17を履く「シャシー スポール」と205/40R18を履く「シャシー カップ」の2グレードが設定されています。よりハードな乗り心地なのは、当然ながら見た目もスポーティな後者で、販売比率もこちらが高いそうです。なお、18インチの「カップ」は、17インチの「スポール」よりもバネ定数もフロントが27%、リヤが20%高められており、車高も3mm低くなっています。
ブラックのホイールもカッコいいですし、ホットハッチですから当然の選択といえば、そうですが、土砂降りかつ濃霧だった箱根ターンパイクでの試乗では広報部から「くれぐれも安全運転で……」という嘆願?もあり、もちろん恐怖心もありそれほど飛ばすことができず。そうした状況下では前者の17インチの方がノーズの入りが良く、軽快さを感じることができました。
普段の乗り心地からいっても、もし家族も乗せるのであれば、17インチがオススメ。逆にサーキット走行も考えているならよりハイグリップな18インチでしょう。
さて、ノーマルのルーテシアでも足まわりの出来映えには感心させられましたが、ルーテシアR.S.には、ハイドロリック・コンプレッション・コントロール(HCC)と呼ぶダンパーの中にダンパーを備えた機構が用意されています。
具体的には、フロントサスペンションのメインダンパーのハウジング内に第2のセカンダリーダンパーを組み入れ、バンプストップラバーの機能を持たせるもので、ゴムやウレタンよりも最適な減衰力を生み出せます。
HCCの効果が最大限発揮されるのは、路面からの大きな入力があった際。タイトなコーナリング時や大きな凹凸を踏んだ際の入力に対して余裕があるため、グリップの限界を拡大できるだけでなく、ゴムやウレタンとは異なり力が加わった際の反力を発生しませんからサスペンション本来のリニアな制御により快適な乗り心地を実現します。
また、タイヤの負荷変動が抑えられるためグリップに専念でき、軽快なフットワークも光るといいことずくめ。
ゴムやウレタンのバンプストップラバーがないですから、フルバンプ時に見舞われる際の衝撃もありませんし、安心してロードホールディングも高められます。
ハンドリングも乗り心地も両立するHCCは、セッティング次第でコンフォート方向にも向けられれば新しいルノーの魔法の足になりそうです。
(塚田勝弘)