「EV」普及が足踏みする中、2015年には「FCV(燃料電池車)」が市販されます。
政府が両エコカーの普及を促進している事もあり、消費者にとってはどちらが今後の主流になるのかが判り難い状況ですが、国産EVに限らず、2014年以降にはVWなどの欧州勢がEVの導入を予定しています。
そもそもEVはガソリン車登場前の1891年に世界で始めて販売され、1899年には既に最高時速が100km/hにまで達していました。
しかしその後のバッテリー性能に抜本的な進化が見られず、発売から120年後の現在も航続距離がまだ十分とは言い難いレベルに有ります。
そこでEVに水素を燃料とする発電機(FCスタック)を搭載して航続距離をガソリン車並みに伸ばそうと考案されたのが「FCV」という訳です。
従ってFCVもEVの仲間であり、実際、モーターやバッテリー、PCU(パワーコントロールユニット)を搭載している点で構造がよく似ています。
先日の東京モーターショー2013ではトヨタ自動車がほぼ市販仕様に近いFCシステムを搭載したコンセプトカーを出展しました。
FCVは排出物が水だけで、燃料チャージが約3分と早く、航続距離はガソリン車並み。
現在「FCV」に残されている大きな課題は「車両価格」。2015年の発売段階ではギリギリ1,000万円以内(800~900万円?)に収まるレベルのようですが、普及が進む2020年台になってようやく市販価格が半分程度にまで圧縮される見通しとか。
また燃料となる水素については「FCV発売に向けた水素燃料の準備が本格化!」でお伝えしたとおり、水素を液化してガソリン同様に海外から船舶で輸入する為の技術が開発されており、2017年には水素の海外調達がスタートする模様。
これにより液化天然ガス(LNG)等から生成する現在の国産水素の半分程度のコストで調達出来る見込みと言います。
水素ステーションについては官民共同で普及促進を図る計画で、2015年までに4大都市圏とその間を繋ぐ高速道路周辺に100箇所、2025年時点で1,000箇所、2030年時点で5,000箇所(全都道府県網羅)に設置される予定。
将来的に再生可能エネルギーで水を電気分解、水素を生成する設備が各水素ステーションにオンサイトで配備されるようになればFCV普及に弾みが付きそうです。
ただ、ガソリンスタンドに対してこうしたオンサイト型の水素ステーション設置には約6倍以上の費用がかかるとされており、国内に3.6万箇所以上現存するガソリンスタンド数に達するにはかなりの時間が必要。
一方のEVも抜本的な電池革命が無い限り、航続距離の課題は直ぐには解消せず、まずは超小型モビリティなどの形で都市近郊で普及が進むものと予想されることから短距離には「EV」、長距離には「FCV」と、それぞれの役割で棲み分けながら共存共栄して行くことになりそうです。
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