BRZにワゴン「クロススポーツ」があるなら 86には「セダン」?

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スバルが東京モーターショー2013で公開した「クロススポーツ・デザイン・コンセプト」は前触れ無く出展されたことや4月に発売が迫る「LEVORG」のオーラに押されて注目度の点では今一つの感が否めませんでしたが、フロント廻りは明らかにBRZがベースであることから何がしかのメッセージを秘めていると見た方が良さそうです。

SUBARU_CROSS_SPORT_CONCEPT

BRZをベースにスポーツハッチバック化、オーバーフェンダー装着、車高アップにより235/50R18サイズの大径タイヤを履かせたまさに「BRZクロス・スポーツ」。

SUBARU_CROSS_SPORT_CONCEPT

スバルと言えば「AWD」、エンジンは「BOXER（水平対向）」が看板商品ですが、「BRZ」の場合はそのネーミング（Boxer Rear wheel drive Z 究極）が示すとおり、トヨタと共同開発した同社初となる「FR」の2ドアクーペ。

SUBARU_BRZ

今やスバルは「BOXER」エンジンを軸にAWD／FF／FRなど如何様な仕様でも開発可能な状況で、既にHVもインプレッサで経験済み。

今回出展された「クロススポーツ・デザイン・コンセプト」がどの仕様なのかは不明ですが、スバルが無駄にコンセプトモデルを作る筈も無いことから、BRZシリーズとしてインプレッサやレガシィ、LEVORGなどと被らないFRの2ドアハッチバック仕様にしているものと思われます。

SUBARU_LEVORG

一方、トヨタは「FT-86オープンコンセプト」を出展。その完成度はいつ発売されてもおかしくないレベルですが、コストや販価面で営業サイドのOKが出ていない模様。

TOYOTA86_01

そこで86コンバーチブルに代わって浮上して来るのが海外メディアがこぞってスクープを狙っている86セダンの登場で、2012年4月のトヨタ86発売当時からその存在の噂が絶えません。ホイールベースを延長して4ドアセダン化、HVモデルも有り?とか。

トヨタのFRスポーツセダンと言えば「レクサスIS」が有りますが、こちらは既に米国をターゲットに大型・高級化しており、トヨタブランドにはかつての「アルテッツァ」のようなFRスポーツセダンが存在しません。

スポーティー路線を押し出しているトヨタとしてはBMWとのコラボ車のような高級FRモデルとは別にリーズナブルな小型FRスポーツセダンが欲しいところ。

ちなみにトヨタ86の開発初期段階で多田チーフエンジニアが当時MAZDA「ロードスター」開発責任者だった貴島孝雄氏にスポーツカー開発の為のアドバイスを受けるべく同社に乗り込んだのは有名な話。

TOYOTA86_10

「ロードスター」は2シーターのオープンモデルなのでクローズドボディで4人乗りの86とはジャンルが異なるものの、トヨタは開発時に大いに参考にした筈。

そのMAZDAには2003年4月に発売、2013年4月に生産完了した4ドアFRスポーツセダンの「RX-8」が存在します。

MAZDA_RX_8

そもそも外観自体、どことなく似た雰囲気が有りますが、この2台のディメンジョンを比較してみると、何やらサイズ的にも近いものが有ります。

・トヨタ86　
　全長4240mm×全幅1775mm×全高1300mm
　ホイールベース 2570mm　車両重量 1210kg

・MAZDA RX-8　
　全長4435mm×全幅1770mm×全高1340mm
　ホイールベース 2700mm　車両重量 1310kg

つまり「RX-8」を改めて研究すれば86セダン開発の参考になりそう。但し、RX-8では観音開きのリヤドアを採用するなど乗降性への配慮がみられるものの、後席膝元スペースはかなりきつそうなので、もう少しホイールベースが必要かもしれません。

コンバーチブルの発売を渋るトヨタの営業サイドも86の開発費を回収する意味で販売数が見込める同車の大部分を流用したセダン（86を名乗るかどうかは別にして）という事なら話は変わって来ます。

従って再びスバルとの共同開発で86セダンが誕生する可能性は高く、見方によってはスバルが「クロススポーツ・デザイン・コンセプト」をあえて2ドアハッチバック仕様としているのは両社が互いに被らないように棲み分けている証拠ともとれる訳です。

SUBARU_CROSS_SPORT_CONCEPT

スバルはインプレッサやレガシィといったスポーツセダンをラインナップに持っていることから、BRZについてはセダン発売の可能性は低いと予想。

今後の両社による86／BRZ派生モデルの登場が大いに注目されます。

〔関連記事〕
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 （Avanti Yasunori） 

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トヨタ スバル セダン BRZ 86

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型｢セリカ 1600GTV｣は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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