ニュルブルクリンクでFF最速ラップを記録したメガーヌR.S.(ルノー・スポール)は、3ドアの6MTのみで、265ps/360NmをMTで扱うと、確かに脳天まで痺れそうな走りが楽しめます。ですが、ややハードな乗り味と低速域でトルクステアに見舞われる走りは、ドア枚数も含めて決して一般向けとはいえません。
もちろん、メガーヌR.S.は最速FFとして一部のマニアに絶大な支持を得ているわけですが、弟分のルーテシアR.S.(ルノー・スポール)は様子が違います。
ひと言でいえば、17インチ(205/45R17)を履く「ルーテシア ルノー・スポール シャシー スポール」ならファミリーユースでも許容範囲といえる乗り心地。悪名高き西湘バイパスではさすがにシンドイと思いましたが、これなら後席にチャイルドシートが必要な家族でも大丈夫なはず。
エンジンは直噴の1.6L直列4気筒ターボで、最高出力200ps/6000rpm、240Nm/1750rpmは中・低速のトルク感も、回していった際のパンチ力にも不足はありません。
ルーテシアR.S.にもノーマルと同様、ゲトラグ製のDCTである6速EDCが組み合わされます。ノーマル仕様との違いは、「R.S.ドライブ」により「ノーマル」、「スポーツ」、「レース」の3つの走行モードが用意されるのと、ルノー・スポール初のパドルシフトも装備されていますから、指先のみで素早い変速が楽しめます。
6速EDCはVWのDSGと比べると、ダイレクト(メリハリ)加減は若干薄い気がしますが、しっとりと変速する仕上がりは、万人に受け入れられそう。
ルーテシアR.S.の真骨頂は足まわりで、技術的な詳細は次回に譲りますが、ノーマルのルーテシアでも感じたシャシー性能の高さはルノー・スポールでも健在で、というかおそらくルーテシアR.S.ありきで最初から目指したため、あのノーマル・ルーテシアの余裕綽々の許容具合があるだなぁ、と実感させられます。
具体的には、箱根ターンパイクのコーナーで少し突っ込みすぎかな、という速度で侵入してもピタリと路面を捉えながら、ほとんどロールを感じさせることなくクリアする様は思わず感嘆の声を上げてしまうほどで、しかもボディ剛性やステアリングの剛性感も図抜けていますから、絶大な安心感の元で走りを楽しめるわけです。
Bセグメントのホットハッチは、フォルクスワーゲン・ポロGTI、プジョー208GTiなどがありますが、トータルでも、少なくても足まわりの完成度はルーテシアR.S.が上回っている印象を受けました。
■ルノー・ルーテシアのセクシーな走り!【ルノー・ルーテシア試乗記01】
https://clicccar.com/2013/11/30/238575/
■ワイド&ローのスタイルを裏切らないコーナリングに驚き【ルノー・ルーテシア試乗記02】
https://clicccar.com/2013/11/30/238585/
(塚田勝弘)