ダイハツ・タント「グッドデザイン金賞」を獲得したワケは「横のデザイン」という価値

今年登場した軽自動車の中でも、セールス的に確実な計算が期待されるのはダイハツ・タントが一番でしょう。しかも、パッケージングの巧みさによる広さは圧倒的で、スズキ・スペーシア(パレット)などのフォローワーも生んでいます。

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「グッドデザイン」と聞くと、デザインのみ焦点が合いがちで「箱型」の典型であるタントが受賞となると違和感を抱く向きもあるかもしれません。

しかし「グッドデザイン」は、単なるデザインコンクールではなく、そのデザインがいかに「くらしを、社会を、豊かにしうるのか」という視点、デザインの効果・効用という視点から評価しているとのこと。

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そう考えると、コンパクトカーどころかLサイズセダンのような広大な後席空間を具現化し、3代目にスイッチした新型タントは、主に小さな子どものいる家族の「くらしを豊かに」してくれるパッケージであり、そのためのデザインが成立しているといえるでしょう。

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それは、すでに多くのユーザーを獲得していることからも証明していますし、新型にスイッチしてもファンを獲得し続けるはずです。

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審査員の評価は、「室内への開口を確保するセンターピラーレスとスライドドアによる抜群の乗降性と室内空間の拡大による使い勝手のよさを追求し、より高い次元で生活の中心にある「軽」のスタンダードモデルを提案している」、「樹脂パーツの採用による軽量化と空力への配慮による高い燃費性能の達成やスマートアシストによる安全性の確保、従前は欧州車のデザインで重視されてきた「走り」、「快適性」、「美しさ」といった価値尺度に対して、日本で生まれた軽というカテゴリーに3代目タントは「横のデザイン」という価値を堂々と体現している」とかなり高いものがあります。

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実際にセンターピラーレスのサイドビューは、乗降性も前後オーバーハングも軽自動車枠の限界に近づいている感があります。確かにこれが日本の軽の最先端だ!といえるパッケージングであることは間違いありません。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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