マニュアル車で交通渋滞に遭遇すると慣れたドライバーでも左足の操作は煩わしく、永遠続くような渋滞やストップ&ゴーが続くと正直うんざりすることもありますよね。
先のフランクフルトモーターショーでドイツのBOSHC社が披露した電子式クラッチ「eクラッチ」は、クラッチを操作せずに1速で発進・停止を繰り返す走行が可能な画期的なトランスミッションで、ときにMTのデメリットになり得るこうしたシーンを解消する新技術です。
操作はATのようにブレーキとアクセルペダルのみで、1速での発進・停止が可能。また、ドライバーが加速をやめるとクラッチがトランスミッションとエンジンを切り離し、エンジンがオフになることで、燃費向上に貢献するコースティングと呼ばれる惰性走行にも対応。
この「eクラッチ」は、トランスミッションではなくクラッチのみを自動制御する役割を担い、クラッチペダルはクラッチを切り離すアクチュエーターに電気信号を伝送するもので、最大で燃費が10%向上する可能性もあるとか。
ヨーロッパで10人の専門家で構成される審査員による「AUTOMOBIL PRODUKTION」でも、このコースティング対応による燃費向上などが評価され早くも賞を受賞しています。
メリットは燃費だけでなく、ATよりもコストを抑制できるなど価格面でも大きいですから、欧州のコンパクトカーに積まれるMTにはこの「eクラッチ」が徐々に採用されるようになるかもしれません。
(塚田勝弘)