「地上の頂点に立つ、ファーストクラスSUV。」
すごいですね。これは、2代目にスイッチしたメルセデス・ベンツ「GLクラス」のキャッチ。ちょっと前になってしまいましたが、試乗する機会がありましたのでファーストクラスぶりをご報告したいと思います。
初対面の感想はデカイ! の一言。全長5145×全幅1980×全高1850mmは全幅こそランクルよりも10mm幅広なだけですが、さらにひと回り大きく感じますし、アウディQ7の5090×1985×1740mmよりも55mmも長いという数値以上に大きく見えます。巨体に加えて、迫力満点の大きなフロントグリルやスリーポインテッドスターの威光もあるからかもしれません。
しかも、4マチックつまりフルタイム4WDのみですから、日本仕様は左ハンドルのみ。慣れているはずの広報部の方さえ気を使う、という取り回し性は推して知るべしですが、高めのアイポイントと比較的ボクシーなスタイルに加えて、メルセデス初の俯瞰映像対応「360°カメラシステム」のサポートがありますので、1日中運転していると少しはクルマとの距離間も近くなった気がしました。なお、「360°カメラシステム」には、縦列駐車時のステアリング操作をサポートする「アクティブパーキングアシスト」も装備されるなど、日本のミニバンのような配慮も。
さて、2代目GLクラスに搭載される4.7LのV8直噴ツインターボ「BlueDIRECT」エンジンは、従来の5.5Lからのダウンサイジングになりますが、むしろ48psプラス、170Nmも上乗せされていることもあって、パワー不足とは無縁です。
最新の7速AT「7G-TRONIC PLUS」は、超スムーズな変速でスムーズに加速していきますし、強めにアクセルオンすれば怒濤の加速で驚かされますが、サイズがサイズだけに気になるブレーキ性能もほぼ万全の効きとフィーリングでこちらにもビックリ。
気になるのが乗り心地で、295/40R21インチを履くAMホイールを装着していたためか、80km/hくらいまでの速度域ではボディが左右に揺すられる船のような乗り味で、エアサスペンションのアダプティブ・ダンピング・システムを「スポーツ」にするとステアリングがクイックになり、ボディの横揺れも軽減します。
「オート」、「コンフォート」もありましたが、個人的には足も引き締まり、ステアリングの手応えも増す「スポーツ」が好印象でした。
走りは高速域ほど安定感が増しますから、ロングツーリング向きで、GLを買う人が3列目まで乗るかどうかは分かりませんが、気になる2列目、3列目の居住性も十分に満足できるもの。
とくに、重くて大変だった2列目の操作と3列目の乗降は、スイッチひとつで2列目が折り畳める電動イージーエントリーシートで超ラクチン。
2列目はもちろん、3列目でも大人がゆったり座れますから、2/3/2の3列シートが欲しいけれどミニバンはイヤで、しかも1290万円〜という予算があるセレブの方の多人数乗車ニーズとしてはかなりベターな選択肢といえるかもしれません。
■メルセデス・ベンツ「GLクラス」
http://www.mercedes-benz.co.jp/content/japan/mpc/mpc_japan_website/ja/home_mpc/passengercars/home/new_cars/models/gl-class/x166.flash.html
(塚田勝弘)