ボディ剛性というのは、人間でいえば骨格のようなもので、それがしっかりとしているかどうかで、いろいろと不具合が出てきてしまったりするのです。クルマのボディ剛性が上がると、乗り心地が良くなり、操縦安定性が高くなります。(衝突安全性はほとんど関係ありません)
新型フィットのボディ剛性向上がハッキリと体感できたのは、スポーツモデルのRSを走らせた時でした。現行フィットではセンタータンクレイアウトや広いスペースを確保するため、どうしても剛性が十分ではなかったようです。モデルチェンジでは、そのウイークポイントを大幅に改善しているのです。
RSに搭載されるエンジンは新開発の1.5リッターの直噴。
132psにパワーアップしていて、より性能が高くなっています。トランスミッションは、いずれも新開発の6速MTとCVTの2種類がラインナップしています。
6速MTはホンダらしいダイレクトなシフトフィールが特徴で、CVTもまた滑っている感触が薄いものに仕上がっています。スポーティな新型フィットのスポーツモデルにふさわしいものといえるでしょう。パドルシフトもカチッカチッと明確なシフト感があります。
直噴エンジンは高回転では伸びないものの、中回転域でのトルク感は力強く、エンジンの回転フィーリングもビート感があります。現行モデルのRSは、回転フィーリングではなく、音をチューニングすることでスポーティさを演出していましたが、今回は本質的にパワー感をチューニングしてきたわけです。
ボディ剛性が高くなったことで、足回りもピッタリと決まっています。
日本車の多くはリヤサスをグニュグニュと動かすことで色々なことを誤魔化していますが、新型フィットでは余計な動きをさせないようにしています。だからステアリングを切った時のフィーリングもいいし、高G領域でも安定しているし、乗り心地も良くなる。このクラスの日本車として、かなりレベルの違う仕上がりといえるでしょう。
コンパクトなスポーティモデルは、ホンダが得意技でした。新型フィットRSは、ホンダらしさを取り戻しはじめた、新しいホンダを感じさせてくれたのです。
(岡村神弥)