新しいフィット・ハイブリッドには、これまでとは違う斬新なシステムが採用されます。
現在まで使われてきていたホンダIMAは、エンジンとモーターを一体化した、モーターでパワーアシストするスタイルでした。新しいハイブリッドシステムでは、モーターはトランスミッションの中に組み込まれています。これによって、よりモーターを大型化することが可能になっています。
その新しいシステムをi-DCDと呼びます。
ヨーロッパ車で採用が拡大しているDCT=デュアル・クラッチ・トランスミッションに、モーターを組み込んだのがi-DCDなのです。MTようなダイレクト加速感と素早いシフトチェンジがDCTの魅力ですが、そこにモーターがプラスされているわけです。
エンジンは1・5リッターに拡大され110psにパワーアップ、そこに7速DCTを介して22kWのモーターがセットされます。モーターの出力は3倍になり、実はバッテリー容量も3倍になりました。しかもバッテリーはリチウムイオン電池になっていて、素早い電力供給が可能になっています。
モーターの守備範囲は拡がっていて、モーターで発進することが可能で、モーターだけでクルージングすることもできるようになっています。それによって、カタログ燃費は36.4km/L(JC08モード燃費)というハイブリッドカーとして日本国内最高燃費を達成することができたのです。結果として現行のフィット・ハイブリッドに対して35%以上の、燃費向上を果たしたのです。
実際の走行フィーリングは、かなりスポーティなものでした。ECON、ノーマル、Sの3つのモードを選択することが可能ですが、スポーティなSで走ると低いギヤでエンジンの回転数を高めに維持するので、モーターの恩恵を感じにくいものでした。DCTが素早く変速してくれるフィーリングは、ハイブリッド=エコカーというイメージを覆すものでした。
ECONを選択すれば、DCTは可能な限り高いギヤにシフトし、エンジンの回転数を低くしようとします。そうなるとモーターの役割は大きく、アクセルから足を離すとエンジンが休止します。そこからアクセルを踏んでも、シフトダウンせずにモーターだけで加速させようとします。
燃費自体は公道で走らせてみなければわかりませんが、その走りはひ弱なエコカーのイメージとは、全く異なるものだったのです。
(岡村神弥)