以前から日本のBMW公式サイトにも掲載されているBMW i3ですが、7月末にニューヨーク、ロンドン、北京など世界で同時発表されました。
BMWの新しいサブブランドである「i」を冠した「i3」は、完全に電動化された量産EVというだけでなく、生産を担うライプツィヒ工場においては生産工程で再生可能エネルギーを使うことで、従来よりもエネルギー使用量を50%、水の使用量を70%削減し、ドイツで盛んな風力発電でエネルギーのほぼ100%をまかなっているそうです。
燃費を気にするユーザーには直接関係はありませんが、生産工程からクルマの現役時代、そして解体やリサイクル時にCO2などを極力排出しないクルマの「サステイナビリティ」という面でも最先端を走っているといえるでしょう。
さて、気になるBMW i3の反響は大きく、すでに全世界で9万件あまりの試乗申込があったとのことで、BMW初の本格的な量産電気自動車への期待の高さをうかがわせます。
気になる航続距離は130〜160kmで、すでに実証実験が行われているMINI E、日本でもカーシェアリングで使われているBMW Active Eによる検証によると、130km〜160kmの航続距離があれば一般的なドライバーが1日に走行する距離(BMWの検証で世界の平均は64kmだという)をまかなえるとしています。
EVをシティコミュータとしてとらえれば、日産リーフも同じような航続距離で、ニューヨークのイエローキャブとしても試験サービスが開始されているリーフに乗る運転手も航続距離に関しては「問題ない」というポジティブな返事が多いようです。
一方で、航続距離の制約は、EVが思ったよりも普及しない課題のひとつでもあります。実際には航続距離以下しか走らなくてもどこか電欠への不安が拭えない、購入に踏み切れないという流れがあります。
しかし、BMW i3の強みは2気筒ガソリンエンジンという「レンジエクステンダー」がオプションで用意されていることで、わずか34馬力ですがモーター横に配置されたエンジンにより日常走行モードなら最大300kmまで航続距離を延ばすことができます。これなら万一でも安心。
カーボンファイバーを多用した軽量構造も話題になっていますが、アルミニウム製シャーシなどもあり、車両重量は1195kgと軽く、最高出力は125kW/170hp、最大トルクは250Nmと重量からすると十分以上で、かなり俊敏な走りが期待できそう。
発売開始はドイツなどの欧州で2013年11月中、米国や中国、日本などでは2014年上半期とアナウンスされました。気になる価格はドイツで3万4950ユーロ、日本円に換算すると約454万円、オプションのレンジエクステンダーを追加すると3万9950ユーロ(約519万円)になります。もちろん、日本での販売価格は輸出コストや為替相場などによって変わるはずですが、大まかな目安にはなるはずです。
■BMW「i」
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/general/news_events/campaign/bmwi-promotion/index.html
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「BMW i3」画像ギャラリー -BMWの電気自動車は発電機がオプション( https://clicccar.com/2013/07/30/226676/)
(塚田勝弘)