「時代の変化に合わせた大胆な変革」。いまやどの業界でも求められています。
そんな中、リスクを顧みず、社運を賭けた、どでかいチャレンジに出たメーカーがあります。
それはヤンマー株式会社。
自動車業界で言うところの、クラウンをピンクに塗ったどころの騒ぎではありません。
なんと、トラクターを、元フェラーリのデザイナーに作らせたのです。
7月25日にその姿が報道発表されたからというもの、「カッコよすぎワロタ」とネット界を含め話題騒然。
「ヒーロー物の主人公の乗り物だよなw」
「まさかのヤンマー製スーパーカー来るで」
と、「いっそフェラーリのエンジン積んで走って欲しい」くらいの妄想を含めた応援メッセージが絶えません。
触角のようなミラーを持つ、昆虫にモチーフを求めたと思われるそのスタイリングは、一度見たら脳裏から離れないインパクトを与えてくれます。
改革の旗手として白羽の矢が立ったのが、世界的デザイナー、ケン奥山こと奥山清行氏。
ケン奥山氏に関しては多くの説明はいらないでしょう。
2002年、イタリアの名門デザイン会社、ピニンファリーナに在籍中、フェラーリ創業55周年を記念した限定モデル「フェラーリ・エンツォ」をデザインした奇跡の才能の持ち主です。
創業者の名を冠したモデルを手掛けた一匹狼の東洋人、ということで、当時は大ニュースになりました。
ピ社を退社し日本に帰国後も、E6系新幹線、マッサージチェア、ロボットなど、氏が手掛けた工業製品は数知れません。
農業・農機具の持つイメージをブチ壊す意気込みのヤンマー。
創業100年を迎えると同時に押し寄せてきた、農業界の最大の危機、きたるべきTPPに対する危機感をはねのけるだけのパワーを感じます。
つい先日、「ヤン坊マー坊天気予報」のサイトが突如として閉鎖されるという事態がありましたが、これも同社の変革のあらわれでしょうか。
気の早いファンのなかには、「すわ、ヤン坊マー坊天気予報の番組も終了か!?」の声もありましたが、さすがは国民的キャラクター、その心配は杞憂に終わったようです。
“ヤン坊マー坊のヤンマー”からプレミアムブランドへの大変革。
この新デザインは、3年後をメドにトラクター、コンバインに採用されるとのこと。
海外市場では、ランボルギーニブランドのトラクターも幅を利かせています。“フェラーリデザイン”のヤンマーとの、スーパーカーならぬ「スーパートラクター」の対決が、いまから楽しみでなりません。
ヤンマースペシャルサイト
(畑澤清志)