好調なスタートを切ったアコードハイブリッドの長所と短所

6月21日に発売されたアコードハイブリッド。発売1か月の受注台数は原稿執筆時点で発表されていませんが、プレス試乗会にうかがった時の最新情報(6月23日)で3600台と好調なスタートを切ったようです。

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30km/LのJC08モード燃費で、ライバルのカムリ(ハイブリッド)の23.4km/Lを圧倒し、一躍アッパーミドルクラス(セダン)のトップランナーに躍り出たアコードハイブリッドですが、死角はないのでしょうか。プレス試乗会に続き、都内を1日走り回る機会があったので再度考えてみました。

デザインの好みは人によって異なりますので、触れません。

まず、圧倒的なカタログ燃費と走りの良さはアコードハイブリッドの長所。サイズはアコードHVが全長4915×全幅1850×全高1465mmで、カムリよりも90mm長く、25mmワイド、全高は5m低くなっています。

プレス試乗会が開催された木更津市郊外であれば、もちろん見た目からして大きいなと思いましたが、取り回しに苦労することはありませんでした。しかし、都心に場所を移すとBMW5シリーズと大差ないサイズですから駐車場所の制約を含めて、機動性は高いとはいえません。しかも最小回転半径はアコードHVが5.7mで、カムリと5シリーズは5.5mにとどまります。

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さらにトランク容量ですが、カムリは440Lを確保していますが、アコードHVは381Lにとどまり、カムリには備わるトランクスルー機構は用意されません。ゴルフバッグはサイズによって3セット積めるそうですが、容量と長尺物などの積載性も重視する人にはマイナスになるかも。

走りに関しては、パワーや加速フィールはアコードHVが群を抜いていて、モーター走行らしさを濃密に味わえます。都内などストップ&ゴーの多い場所では、「ECONスイッチ」をオンにしてパワーを抑えた方が走りやすいほど。しかし、路面状態が悪い場所だと小さな振動を感じさせるなど、乗り心地に関してはとくリヤサスペンションの仕事ぶりにやや不満が残ります。

燃費とともに暑い夏場で気になるのが、エアコンの効き。アイドリングストップ車はエンジンオフでエアコンが送風に変わってしまうモデルも多いですが、アコードHVは酷暑の中でもほとんど暑くならず、撮影時などでアイドリングが長いと発電機の役割を担うエンジンが始動するというサイクルを繰り返して快適さをキープ。

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ただし、酷暑下で渋滞やストップ&ゴーが多く、しかもアイドリングする時間もあるとバッテリーの減りは早く、半分まで回復することはあまりありませんでした。

さて、価格ですがホンダがターゲットにしたカムリの主力グレード「Gパッケージ」は、HDDナビとETC付きで356万7000円。アコードHVは、全車インターナビ+通信費無料のリンクアップフリー、ETC機能付きDSRCが全車標準ですから「LX」の365万円、「EX」の390万円は決して割高とはいえません。

ただし、強気の価格設定であることは間違いなく、日本では「アコード=インスパイアの下」というイメージを持っている人もいるはずで、「新型アコード=インスパイアの後継車でもある」と訴求できるかもモデルサイクルを通して必要になるでしょう。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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