ガソリン量産車では世界最高燃費となる36.4㎞/Lを達成している新型フィットハイブリッドが、低燃費を達成することができた理由は数々の新しいメカニズムを採用しているからです。
パワートレインは新開発の1.5リッターDOHC i-VTECアトキンソンサイクルエンジンに、22kWを発生するモーターを内蔵した、新開発の7速デュアルクラッチミッションを組み合わせています。
駆動用バッテリーもニッケル水素からリチウムイオンに進化して、バッテリー容量を約2倍に増加。アコードにも採用された電動サーボブレーキも採用して、減速時の回生効率を大幅に向上させています。
デュアルクラッチを採用しているので発進時や低負荷時にはエンジンを切り離し、完全にモーターだけで走ることが可能となっています。そして加速時にはエンジンとモーターアシストにより、力強くスムーズな加速をもたらしてくれます。
7速デュアルクラッチミッションは乗る前はフォルクスワーゲンのDSGのようなものを想像していましたが、実際にはそうではなく、日常域はCVTに乗っているように滑らか。アクセルを深く踏み込んで加速をしている際には、ギヤが変速していることが音で分かりますが、普通に走っている時には変速ショックのない自然なフィーリングです。スポーツモードは用意されていますが、マニュアルモードは残念ながらありません。
ハイブリッドは乗り心地もよく、パワートレインのノイズも上手く抑えられているので、なかなか上質な乗り味にまとめ上げられています。ハンドリングも超低燃費車を意識させない軽快感と安定性があり、走らせても楽しいハイブリッドカーとなっています。
外観はフロントグリルやテールランプなどが専用になっていますが、標準車のとの差別化は少なめ。ただしインテリアは専用の電子制御式シフトや専用メーターが採用されているので、ハイブリッドらしい先進感があります。
ライバルのアクアよりも燃費が良くて、室内が広くて、走りも楽しめるとなると、アクアが独走していた小型ハイブリッドの市場も、一気に様変わりするでしょう。
フィットハイブリッドは、ここまでの性能を実現しているので価格も大幅にアップしてしまいそうですが、価格は現行車なみに抑えているということなので9月上旬の正式発表が楽しみです。
(岡島 裕二)