欧州市場縮小は2015年も続く? ルノー カルロス・ゴーンCEOが予測 !

EC欧州委員会が公表した経済見通しによると、EU経済は2012年の景気後退後、厳しい落ち込みが続いていますが、2013年後半にプラス成長に転じ、2014年以降にようやく持ち直すとしています。 

欧州GDP成長率

欧州財政赤字

とは言え、現状は依然として下方リスクが支配的で、深刻な金融危機の後遺症により内需が低迷しており、今後の経済成長は新興国などの外需に頼らざるを得ない状況。

2013年のユーロ圏17ヶ国に於ける平均失業率は12.2%と極めて深刻な状況で、景気の回復速度が失業率改善に対して緩やか過ぎる為,この状況は2014年も続くと予想されており、一層の経済対策が行われなければ更に長期化する恐れも有ると言います。 

欧州失業率

こうした失業増を背景に自動車の需要が引き続き減少する中、ブルームバーグによると、ルノー のカルロス・ゴーンCEOが7月6日、欧州の自動車市場が2014・15年に更に縮小する公算が大きいとの見通しを示したそうです。 

ゴーンCEOは南仏でのインタビューで、「新車販売の減少は過去数年のような急激で深刻なものではないかもしれないが、成長のきっかけとなるものが見当たらず、楽観出来ない状況にある」としています。 

カルロス・ゴーンCEO

それを裏付けるように5月の新車販売台数は20年ぶりの低水準で、プジョー・シトロエングループやルノー、フィアット、GM各社の需要が減少。 

ACEA(欧州自動車工業会)が公開している欧州全域(EU+EFTA全29か国)の2013年1-5月の新車販売累計によると、前年同期比で38万台少ない526万台(▲6.8%減)となっています。 

ブランド別 欧州 新車販売ランキング

依然として殆どのメーカーが前年割れしており、前年比増となっているのはメルセデスベンツやKIA、VWグループのセアト、ルノーグループのダチア、ホンダ、マツダ、ランドローバー、ジャガーといったところ。 

欧州で12.6%の圧倒的シェアのVWも前年比で▲7.8%減(66.1万台)の状況で、トヨタも▲10.4%減、レクサスに至っては▲34.6%と大きく落ち込んでいます。  

ブランド別 欧州新車販売ランキング

このような状況の中、仏の大手ルノーも前年比▲12.4%と販売が低迷中。

欧州自動車メーカー各社は新興国市場からの旺盛な需要により、足元での販売不振を相殺しながら世界販売全体で帳尻を合わせているのが実情。そうした背景から日本に対しても一層の販売規模拡大が命題になっていることは容易に想像がつきます。

■欧州委員会 Webサイト
  http://ec.europa.eu/index_en.htm 

■ACEA(欧州自動車工業会) Webサイト
  http://www.acea.be/

 〔関連記事〕
・日産がルノーの再建に向けて次期マイクラの生産委託を発表 !
 https://clicccar.com/2013/05/01/218840/

・仏自動車工場で従業員らが抗議デモ ! 労使の対立が鮮明に !
 https://clicccar.com/2013/02/01/211975/

・フランス政府が雇用維持で「ルノー」に日産車の生産を要請 !?
 https://clicccar.com/2013/01/22/211372/

・欧州市場低迷で経営深刻化 ! 仏政府がプジョー(PSA)救済へ
 https://clicccar.com/2012/10/24/202725/

Avanti Yasunori) 

【画像ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】  https://clicccar.com/?p=224997

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
続きを見る
閉じる