日銀が7月1日に発表した6月度「短観」(全国企業短期経済観測調査 5月28日~6月28日)によると、3月の調査時点よりも全体に景況が改善しており、先行き(9月)についても引き続き緩やかに改善が進むと予測しています。
今回の調査は日銀の黒田総裁が4月に「異次元緩和」を導入後、初となる調査で、海外経済の回復や「アベノミクス」による円高是正を背景に、輸出や生産が好転していることを反映したものになっています。
「短観」は日銀が景気動向を把握する為、全国1万623社の企業を対象に定期的に調査(1回/3ヶ月)しているもので、金融政策に於ける重要な判断材料の一つとして利用されています。 (PDF版はこちら)
〔上表注釈〕
・「最近」は回答時点 「先行き」は3か月後の予測
・「最近」の変化幅は前回調査の「最近」との対比
・「先行き」の変化幅は今回調査の「最近」との対比
製造業の大企業(最上段左)欄を見ると、3月時点の-8ポイントから6月時点で4ポイントまで大幅改善しており、先行きについても10ポイントと予測。
「アベノミクス」による円安効果で昨年末から株価が一気に上昇した後、5月下旬に一旦急下落したものの、現在は持ち直している事から大手各社が今後への期待感を持っている様子が垣間見えます。
自動車は非常に好調で、3月時点の10ポイントから6ポイント改善して16ポイントまで上昇。
一方、製造業の中小企業欄(右端)に目を移すと、3月時点の-19ポイントより改善はしているものの、現在も-14ポイントと依然厳しい状況であることが判ります。
つまり大きく改善が進んだのは今のところ大企業までの話で、中小企業までは十分に浸透していない実態を表しているという訳です。
大企業の好転が中小企業まで波及するには規制緩和や法人税減税等の政策を早期に打ち出して、設備投資や賃金の上昇に結びつける事が重要と思われます。
■日本銀行 Webサイト
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan06a.htm/
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