実燃費はカタログ燃費より2-3割悪化すると明言! 自工会が実情を公開

「○○km/Lの画期的燃費達成 !」といったキャッチコピーが氾濫する昨今ですが、その一方で新車を手にしたユーザーがカタログどおりの燃費を叩き出すのは至難の業。

出展 日本自動車工業会

そうしたユーザーの声に応えるべく、日本自動車工業会が動き出しています。燃費の乖離要因を解説したパンフレットを作成して自動車販売店等へ配布。それによると、平均実燃費は、カタログ燃費より「10・15モード」で約3割、「JC08モード」で約2割低くなる模様。

乖離要因はエアコンやヘッドランプなどの電装品を使用しない状態で燃費を計測している為で、電装品による燃料消費は大型車でも小型車でも大きな差が無いことから、低燃費車ほど乖離比率の割合が大きくなる傾向と説明。 

出展 日本自動車工業会出展 日本自動車工業会

燃費30km/L越えのエコカーの場合、実燃費はカタログ燃費より10・15モードで約4割低くなると言います。 

国内自動車各社はカタログ燃費上で0.1km/L差のデッドヒートを展開していますが、走行時には燃費が遥かに大きくバラつくのが実情。

自工会パンフレットでは消費者の混乱を避ける為、同じクルマ同士の比較でも走り方(加減速・速度・距離)や使用環境(気温・道路混雑等)、電装品(エアコン・ライト等)の使用状況により、燃費が大きく変化する事を解説した上でエコドライブの秘訣を紹介しています。 

言い換えれば、より実態に近い燃費測定法として「JC08モード」が新たに採用されたものの、この数値がまたまたユーザーの誤解の火種になりかねないという訳です。

消費者が現状のカタログ燃費値にどの程度の不満を感じているかについては記載が有りませんが、数値はあくまでクルマを選ぶ際の「目安」であり、「実燃費」では無い事を強調、その一方でより良い燃費測定法や公表方法を検討しているとしています。

出展 EPA

欧米ではどうなっているかと言うと、例えば米国の場合、米国環境保護庁(EPA)が市街地(City)/高速道路(HWY)/複合(Comb.)の3パターンに分類した燃費基準を制定しており、米国エネルギー省がWebサイトで車種毎の燃費を公開しています。 

各自動車メーカー(日本車も)はEPA規定に準拠した燃費をカタログに掲載。数値は※MPG(Mile Per Gallon)で表示されています。 ※1MPG=0.42518km/L 

ホンダ アコードUSA

このように自動車先進国である米国では燃費表示も実にシンプルで理解し易いものになっており、その数値もほぼ実燃費と合致しているようです。欧州も同様。 

(プリウスの欧米燃費表示 出展  Cordia) 
欧米の燃費表示 (出展 Cordia)

先日米国で韓国のHYUNDAIが燃費の過大表示で大きな問題として報道されたように、誇大広告に対する風当たりの強い米国で日本のJC08の数値をカタログに載せようものなら速攻で集団訴訟が起きることは容易に想像がつきます。

カタログ燃費値だけに捉われ過ぎて、購入した後に走りや質感等、他の面で後悔しない為にも、他車との比較用の「参考値」程度と割り切って、デザインや性能、価格などの総合バランスで判断すべき。

 現状ではWeb上の「e燃費」等で車種毎の燃費実態を把握したり、お目当てのクルマに普段の運転スタイルで実際にじっくり乗って判断する事が最も間違いの無いクルマ選びに繋がりそうです。 

今回の自工会によるパンフレット作成は日本の消費者にカタログ燃費への不安を抱かせない為の施策ともとれ、有る意味で欧米のような実態に則した燃費表示実現への第一歩とみて良さそうです。 

■日本自動車工業会 燃費 関連資料 (PDF版)
気になる乗用車の燃費~カタログとあなたのクルマの燃費の違いは?http://www.jama.or.jp/user/jitsunenpi/pdf/jitsunenpi.pdf 

■米国エネルギー省 Webサイト
・モデルイヤー毎の燃費データ
 http://www.fueleconomy.gov/feg/printGuides.shtml 

・メーカー別燃費検索
 http://www.fueleconomy.gov/feg/findacar.shtml 

■Cordia Webサイト
  http://www.cordia.jp/index.html 

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 (Avanti Yasunori) 

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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