日産自動車と三菱自動車が協業による新型軽自動車、第一弾がついにリリースされました。eKワゴン、eKカスタムの走りについてご報告します。最初に試乗したのは、軽トールワゴンでは最高の29.2km/Lという、JC08モード燃費を実現したNAエンジン搭載のeKワゴン。三菱の軽自動車では初となる副変速機付CVTとの組み合わせで、こちらはジャトコ製です。
同じNAでも出力特性は2通りあり、最高出力は両者ともに49psと同一ですが、29.2km/Lを達成したeKワゴンの「M」と「G」は56Nm/5500rpm、25.8km/Lの「E」は59Nm/5000rpmと最大トルク値と発生回転数がわずかに異なります。
NA2台の乗り比べはできませんでしたが、売れ筋になるはずの29.2km/Lの仕様は、思いのほか遅い!
ワゴンRの52ps/6000rpm、63Nm/4000rpmやムーヴの52ps/6800rpm、60Nm/5200rpmと比べても数値は確かに控えめですが、パーシャルから踏んでいった際のフィーリングは、燃費優先でかなり出力を抑え込んでいるという印象。
静粛性や乗り心地はかなり頑張っていて、ミラージュよりも走りの質感はいいかも、と思わされるほどでした。
しかし、ちょっと周囲の流れが速い道路や急いでいる際は、アクセルを踏み込んでいってもモアトルク、モアパワーを!と、もどかしく感じるほど加速が乗っていきません。
もちろん、三菱も日産も重々承知なはずで、シフトレバーにあるオーバードライブ用のボタンを押すと一気に加速感が増す「Dsレンジ」に切り替わります。もっとパワーが欲しい際や高速道路の合流時などに重宝しそうです。
ただし、このモードは高回転に張り付くためエンジン音は盛大で、自慢の燃費も悪化してしまいますので必要な時に押すブーストボタンのようなイメージで使いたいところです。
三菱&日産の名誉のためにいうと、開発途中でまさかの燃費目標値アップを達成するため、エンジンからCVTまでかなりの変更と、エンジン出力的にも頑張っているとのこと。圧縮比は耐ノック性的にもかなり限界に近いはずの「12.0」とかなり高いワケです。
街中で普通に走る分には、29.2km/LのNAでも不足はないですし、イザという時はシフトレバーのスイッチを押せばいいわけです。
NAでパワーを重視するなら25.8km/Lの「E」をチョイスしても正解だと思います。
(塚田勝弘)