一般的に、小型・普通自動車を購入・登録するには、車庫証明が必要になります(軽自動車を除く)。
新車にせよ、中古車にせよ、個人売買であっても、とにかくクルマを手に入れて、登録するには車庫を確保していることが大前提というわけでです。
では、クルマを登録するために必要な車庫の条件とは何でしょうか。
次の5つの条件が求められるのです。
1.使用の本拠と保管場所の位置との距離が直線で2kmを超えないこと
2.申請する自動車の全体が支障なく収容できること
3.道路への出入りの際に、遮蔽物に遮られないこと
4.他の法令に抵触しない道路と接していること
5.保管場所として使用する権限を有する者であること
自宅に駐車場があれば、そこを申請するのが一般的でしょうが、月極駐車場などを借りる場合には、1.の条件となっている本拠の位置(通常は自宅住所)と保管場所が直線距離で2km以内という条件が重要。
クルマを買うことになって、あわてて駐車場を契約して、この条件を満たしていないばかりに車庫証明が取れず、せっかくの愛車が登録できないなんてことにならないよう注意が必要です。
もっとも、直線距離という条件なので地図に定規を乗せるだけで簡単に測ることができますから、不動産屋さんなどでの契約時に確認すれば問題ないでしょう。
そのほか、インターネット上のサービスで2点間の直線距離を測るサービスもいくつか存在しています。たとえば、地図サイト「マピオン」が提供している『キョリ測』は、スマホに対応したアプリも用意されていて便利な存在です。
http://www.mapion.co.jp/route/
しかし、ここで上げた5つの条件というのは、警察に車庫証明を申請するために必要な条件であって、これだけを満たしていれば実際の問題がないというわけではありません。
車庫証明の条件である「2.申請する自動車の全体が支障なく収容できること」というのは図面上でクルマを上から見たときのサイズよりも土地が大きければ問題ないわけですが、実際にはクルマを収めるのが不可能というケースもありえます。
入り口部分がわずかに狭くなっていて車体が通り抜けできないだとか、クルマは収まるけれど両側にドアを開ける余裕がなくて乗り降りが難しいといったケースもありえるのです。
ボディサイズに制限のある立体駐車場などでは車検証(カタログ)上での全高はクリアしていてもアンテナが飛び出しているために安全センサーが働いてしまって実際には使えないだとか、輪止めの位置とホイールベースとの関係でクルマがパレットから飛び出してしまう、といった笑えない話も耳にするところ。
ずっと使っている駐車場で、そうした問題を把握しているつもりでも、意外に4ドアセダンから2ドアクーペに買い換えたら、ドアが長くなったおかげで、予想以上に乗り降りがしづらくなったというケースもあるとか。さらにスロープのあるような駐車場では、車高の低いクルマに変えたことで、出入りのたびにバンパー下などを擦ってしまうということもあるといいます。
心配であれば、とにかく購入しようとしているのと同じ車種で、実際に”駐車場として使える”かどうかを確認することが重要です。
また、自宅から2km圏内であれば車庫証明はとれるといっても、毎日乗るようなケースでは2kmを徒歩や自転車で移動するのは現実的ではないかもしれません。月々の賃貸料をケチって遠くの駐車場を借りたおかげで、クルマに乗るのが億劫になってしまったというのでは本末転倒。自分の使い方と予算を考えて、駐車場を選びたいものです。
あらためて整理すれば、次の4点が駐車場に関する重要なポイントになります。
1.クルマを登録するには保管場所が必要なので、まずは駐車場を確保すること
2.その際、車庫証明の条件を満たした駐車場であることは大前提
3.図面上だけでなく、実際にクルマを置くことができるかを確認すること
4.可能であれば、実車で”駐車場として使える”かを確認するのがベスト
なお、これから増えてくるであろう、電気自動車の場合は、充電コンセントについてもしっかり考えておかなければいけません。自宅駐車場で、そこにコンセントが用意されてるという条件でも、電気自動車の場合は抜け防止のロック機構のついたEV専用コンセントが求められていますから、既設のコンセントに対して何らかの工事が必要になることも覚えておくといいかもしれません。
(山本晋也)