スバルXVハイブリッドは、独自のハイブリッドシステムだった!

富士重工業が、同社初の市販ハイブリッドモデルとして2013年初夏に発売予定となる『スバルXVハイブリッド』プロトタイプを発表しました。過去にピュアEVはフリート向けに市販したこともあり、電動化技術には独自の知見を有しているとされるスバルのハイブリッドは、どのようなシステムなのでしょうか。

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まずはハイブリッドシステム本体の前に、バッテリーについての疑問について取材しました。最近ではリチウムイオンバッテリーが増えつつありますが、スバルXVハイブリッドが搭載するのはニッケル水素バッテリーで、サプライヤーはパナソニックといいます。

パナソニック製のハイブリッド用ニッケル水素バッテリーといえば、プリウスに代表されるトヨタ・ハイブリッドが長年使っているものですが、果たしてスバルはトヨタと同じバッテリーを使っているのでしょうか?

答えは「ノー」でした。

ラゲッジルーム下の置かれたニッケル水素バッテリーは、パナソニック製ではありますが、開発初期段階では三洋電機とともに開発したといいます。三洋電機がパナソニックと合併したために、パナソニック製となっていますが、トヨタの使っているタイプとは異なるということです。

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むしろ、旧三洋製のニッケル水素バッテリーはホンダのハイブリッドカーにも供給されていて、スバルが採用したのはそちらと同じ単一サイズのセルをパックして使っています。こうした選択は、コストや品質面を考慮した結果といいうます。なお、バッテリーの重さは約25kg、総電力量は650Whとなっています。

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さて、国産車のハイブリッドというと、トヨタは2モーター式、日産はシングルモーター・2クラッチ式、ホンダはシングルモーターをエンジンとミッションの間に入れています。スバルのシステムはリニアトロニック(チェーン式CVT)の後ろにシングルモーターを配置、モーターをCVTのプライマリープーリーに直結しているというもので、そのいずれとも異なる方式。あえていえば、CVTとシングルモーターを使っているという点でホンダに近いシステムといえそうです。

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モーターを内蔵したミッションケースは、スバルが直噴ターボなどに組み合わせている高トルク型リニアトロニックとほぼ同じ寸法となっていますが、CVT部分はスタンダードサイズということです。またモーターのスペースはそれほど大きくはなく、その出力も10kWとアシスト的な使い方を前提としたスペックとなっています。とはいえ、CVTの変速効果もあってか、モーターだけで40km/h程度までは走行可能。EV走行には必要となる車両接近通報装置は備わっています。

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このハイブリッドシステムに組み合わされるエンジンは、2.0リッターの水平対向 FB20型エンジン。スタンダードなスバルXVにも搭載されているエンジンですが、ピストン形状の変更による高圧縮化(10.5から10.8)やピストンリングの低フリクション化などハイブリッドシステムに合わせた省燃費エンジンへと進化しています。

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エンジンの出力を低回転から全域でアシストするハイブリッドシステムは、燃費性能だけでなく走行性能面でもパフォーマンスをプラスするもので、発表の席において富士重工業・吉永泰之社長が語ったように、まさしく「ターボのかわりにモーターを使った、トップグレードにふさわしい」パワートレインです。

 

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さらに、スバルといえばドライバー支援システム「アイサイト」が知られていますが、アイサイトによる追従クルーズコントロール時に、モーターアシスト量を最適化するハイブリッド専用の制御が入れ込まれるといいます。

シンメトリカルAWDというスバルの伝統にもこだわり、燃費性能に有利と思われる二輪駆動仕様は最初から考えていなかったという、AWDを前提としたハイブリッドカー。そのシステムがオリジナリティ感にあふれるのは、当然のことなのかもしれません。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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