4月12日に日米両政府がTPP協定交渉に向けた事前協議を終え、「日本がTPP交渉に参加することで合意した」と甘利経済財政・再生相が明らかにしました。
新聞報道などによると、合意文書には米国の日本車への関税は「段階的な引き下げ期間によって撤廃され、最大限に後ろ倒しされる」と記されているそうです。
TPP交渉に参加する11カ国のうち、既に7カ国は日本の参加を支持しているようで、7月の会合参加に意欲を見せる日本政府は米国が強く主張していた日本車への関税維持や日本への米国車輸出枠拡大などで大幅に譲歩することでTPP交渉参加への道筋をつけました。
日本自動車工業会によるとTPP参加国への自動車分野の関税支払額は年間約2000億円、米国だけで約800億円に上り、超円高の是正で輸出採算が改善してはいるものの、今後主力市場の北米でFTA協定を武器に2016年3月に関税ゼロを予定する韓国車との価格競争が待ち受けているだけに、自工会関係者は落胆の色を隠せないと言います。
今回の日本側の譲歩を受けて米政府は日本の交渉参加を米議会に通知、90日間の検討期間を経て、7月にも日本が交渉会合に参加することになる予定。
ちなみにTPPを巡る今後の流れは以下となる模様。
4月20日~ APEC貿易相会合・TPP閣僚会合
5月 米など11カ国のTPP交渉会合
7月 TPP交渉会合に日本が初参加
9月 TPP拡大交渉会合
10月 APEC首脳会議・TPP首脳会議
12月 TPP交渉会合(予定)
安倍総理は関係閣僚会議で「早く正式に交渉に参加して日本主導でTPPのルール作りを・・・」としているようですが、日本が米国に対して自動車関税などで大幅譲歩を見せたことにより、既に他の交渉参加国にも波紋が広がっているようです。
日本車に5%の関税をかけているオーストラリア政府が関税維持に向けて動き出しているようで、ベトナムやカナダなども今後同様の主張を展開することが予想される中、日本の自動車業界にとってTPP締結によるメリットが見え難い状況となりつつあります。
今後、日本が「聖域」と主張する農産品も含めて安倍総理を中心とした日本政府の交渉手腕が問われることになりそうです。
・「円安」が日本の自動車業界に与える影響はこんなに大きい !
https://clicccar.com/2013/04/15/217831/
・自工会豊田会長が米の軽自動車「非関税障壁」指摘に言及 !
https://clicccar.com/2013/03/26/216146/
・TPP協定交渉参加を正式表明 ! 自動車業界への影響は?
https://clicccar.com/2013/03/16/215328/
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