2014年よりF1マシンのエンジン規定が2.4L NA(自然吸気)V8からターボチャージャー付1.6L V6エンジンに変更されることが決定しており、現在各チームが新エンジンの開発を急いでいるようです。
F1エンジンの規定変更の理由は欧州を中心に市販車で小排気量のターボエンジン搭載モデルが主流となっており、F1も環境面への配慮から時流に沿わせるもので、これにより、市販車への技術フィードバックも期待できます。
日本でも「小排気量ターボエンジン」のブームが到来する予兆が有り、F1エンジンのダウンサイジングは市販車のエンジンを開発する上で世界の自動車メーカーにとってもタイムリー。
ホンダは2008年12月に当時の福井社長が緊急記者会見を行い、リーマンショックによる業績悪化でF1レース活動が経営を圧迫する恐れがあるとして、経営資源の集中を理由に2009年以降のF1世界選手権シリーズから撤退する方針を発表。
トヨタもF1に膨大な投資をしたものの、優勝には至らず、折からの経営環境の厳しさを理由に2009年11月に撤退を発表。
しかしながら、欧州での両社の2012年度シェアはトヨタが4.3%、ホンダが1.1%といった具合で、米国でのシェア(トヨタ:14%、ホンダ:9%)に比べて約1/10の規模に留まっている状況。F1戦で勝利することにより欧州で高い技術力をアピールしたい思いは各社現在も変わらず。
そうした中、海外メディアがこぞってトヨタやホンダがF1復帰を計画していると報じています。
トヨタは「Lexus」ブランドでの2014年復帰が予想されており、トヨタの欧州部門で既に参戦に向けた準備が整っているとの情報も。
F1に装備されるエネルギー回生システム(KERS)の容量が60kWから120kWに増加すると言われており、HVでエネルギー回生を得意とするトヨタにとっては正に好都合な状況。
一方、ホンダはマクラーレンへのエンジン供給という形で2015年の参戦を検討している模様。また日産も2011年に「レッドブル・レーシング」とマーケティング&技術協力契約を結んでおり、F1マシンに「インフィニティ」のロゴを入れてアピール。ちなみにエンジンはルノー製。
以上より、2015年以降は日本車メーカーが再びF1戦で火花を散らす可能性が出て来ており、今後F1で蓄積した技術を活かして1.6L V6エンジンが市販車に搭載される可能性も。
現在は1.6Lクラスのターボエンジンと言えば直4か、次期スバルWRXに搭載が噂されるBOXERエンジンを思い浮かべますが、小排気量なV型6気筒エンジンが開発されれば「低燃費」と「静粛性」の両立が実現することになり、上級モデルへの搭載の可能性が高まります。
そうした意味で日本車勢のF1参戦は今後大いに意義が出て来るかもしれません。
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