ピンククラウンと大口を開けたグリルがインパクト大の新型クラウンですが、その中身はどうなのかは興味深いところです。今回のプレス試乗会ではハイブリッド仕様を中心に、ガソリン仕様も改めて少しずつですが乗ることができました。発売から約1か月の1月29日時点で約2万5000台の受注のうち約7割がハイブリッドで、ロイヤルシリーズが約1万900台、アスリートシリーズが約1万4100台とのこと。
注目のハイブリッドは2.5Lの直噴4気筒エンジンにモーターの組み合わせ。ついに「王冠」オーナメントを戴くクラウンにもダウンサイジングの流れが来たのかと思いますが、システム合計出力は220ps、レギュラーガソリンを指定するのとJC08モード燃費23.2km/Lが自慢です。
スイッチをオンにするとバッテリーやエアコンの作動状態などでEVモードだったり、エンジンが掛かったりしますが、エンジンが目覚めても当然ながら静かでスムーズに発進できます。ゆっくり加速して30〜40km/h程度で走るならバッテリーが残っていればEV走行が可能ですが、街中でも流れが速いとモーター走行のみで頑張るのは困難。でも早朝ゴルフで住宅街をスルスルと脱出する分には十分でしょう。
新型クラウンには「スポーツ」「ノーマル」「エコモード」の走行制御モードを備えており任意で選ぶことができますが、「エコモード」だと車格の割には遅いです。そこからさらに踏み込めばもちろん加速しますが、スムーズに走るには高速への流入路などでは「ノーマルモード」か「スポーツモード」にしておくことをオススメします。
また細かい点ですが、ナビ画面下にある5インチのTFTを押すことでこの3モードのチョイスが可能になるわけですが、エアコン画面がデフォルトになっているため、「車両設定」を押してからこの3モード制御を選ぶ手間がかかるのと、それほどクラウンでは使うと思われないVSCのオフスイッチが常時表示されるのも疑問ではあります。
高速道路に場所を移すと、とにかく静かなままスーッと加速していきますが、加速フィーリングは3.5LのV6が断然上で、ハイブリッドは気張らずいつの間にか法定速度に達しているという印象です。「ノーマル」モード以上で走っていれば上り勾配でも流れをリードできますから、上品に走るなら不足のない加速性能といえるでしょう。
また、V6エンジンほど滑らかで音質もきめ細かくはありませんが、音振動は念を入れてされているので、直噴でしかも直4だと不安の安っぽさはほとんどありません。エンジン回転数も100km/hで1650rpm程度と平和そのものです。
(塚田勝弘)