BMWは日本では3シリーズ、5シリーズ、X3、X5にクリーンディーゼルを搭載しています。昨年12月の販売台数のうち、約25%がディーゼルだったそうです。
NAの直6エンジンが姿を消すという噂もある中、そしてディーゼルの注目度と期待値が高まる現在にあっては、その出来は非常に気になります。
X3のクリーンディーゼルは「xDrive」、つまり4WDモデルのみで価格は564万円。X3の購入者の半数以上がディーゼルを選んでいるそうです
現在のガソリン価格は資源エネルギー庁の2月14日の発表によると、レギュラーの全国平均が153.8円で、ハイオクは164.6円、軽油は133.2円。円安が続けばさらに高くなる可能性が大となると、やっぱり燃費と燃料代は気がかりです。
そうなると、BMWのお客さんがいくら懐の暖かな層が多いとは言え、ハイオクと軽油の価格差、そして燃費まったく無視できる人ばかり、とは思えません。
なんて思いながらX3のクリーンディーゼルに乗ってみると、こちらはエココンシャスなケチなモデルではなく、予想どおり分厚いトルクでグイグイ加速する飛ばし屋系でした。
CX-5やアテンザに積まれているマツダのクリーンディーゼルと比べると、それほど回りませんが、1750-2750rpmで最大トルクを発揮するトルクバンドの広さからも分かるように過渡期のトルクは十分過ぎるほどで、回す必要もありません。
200kmほど走りましたが、エコランをしなくてもJC08モード燃費の18.6km/Lに近い燃費を計測できました
シフトレバー近くには、ドライビングパフォーマンスコントロールのボタンがあり、「ECO PRO」にするとかなり出力が抑えられるものの、街中なら不足はなく、「スポーツ」でより元気になり、「スポーツ・プラス」にすればレスポンスは1.5倍増しくらいに鋭くなります。
一方で、兄貴分のX5は直6ディーゼルですから、こちらと比べてもX3は回す楽しみは薄く、淡々と速度を乗せていくタイプに仕上がっています。もし、BMWだからとX3に期待するのであれば、ガソリンをチョイスすべきです。
しかし、X3はDPF(粒子状物質除去フィルター)を搭載し、X5のように尿素SCRを使ったNOx浄化システムではないため、メンテナンスフリー&低価格化を達成。2.0Lのガソリンである「20i」から23万円高に抑えられています。
試乗したのはフロントが245/45R19、リヤが265/40R19のピレリ「P-ZERO」を履く、「Mスポーツパッケージ」で、見た目はごつくてカッコいいですが、結構硬めでバネ下の重さがありありと伝わってきますから、もし乗り心地も気にするのであれば18インチまでにしておいた方が無難かもしれません。
なお、メルセデスのMクラスやマツダのクリーンディーゼルと比べると、アイドリング時のカラカラとした音はやや大きめですが、アイドリングストップも備わりますし、気にするレベルではありませんのでご安心を。
(塚田勝弘)