新型車なのに装備されていないと疑問に思われるほど普及してきたアイドリングストップ。
アイドリングストップシステムはブレーキ回生システムとの組み合わせが一般的ですが、回生した電気を電装品で使うにはキャパシタでもリチウムイオン電池でもDC-DCコンバーター、つまり電圧変換器などが必要になります。
写真はパナソニックが開発した車載用ニッケル水素セル。アテンザの場合は、25Vという高電圧でキャパシタに充電しますが、回生した電気をナビやオーディオなどの12Vの車載電装品に使うためDC-DCコンバーターで電圧を安定化させています。
こちらはワゴンRが採用する東芝のリチウムイオン電池。「エネチャージ」は東芝製のリチウムイオン電池パックを採用。電池セルは1個2.4Vで、5個直列で接続すると12Vになります。アイドリングストップ用鉛電池と同じ電圧で1つのシステムで2種類の電池を使っていますが、電圧変換器などが不要になるメリットがあります。一方で、リチウムイオン電池は発火などのリスクも高いため、エンジンルームではなく助手席下に設置されています。
前置きが長くなりました。今回パナソニックが開発したのは、ニッケル水素電池を使った「12Vエネルギー回生システム」。同システムは、エンジンルームにあるメインバッテリーと並列接続するため電圧は鉛電池に合わせた12Vで設計されています。1.2Vのニッケル水素電池を10本搭載することで変圧が不要で、システムの簡易化、低コスト化を図れるメリットがあります。
さらに、ハイブリッドカーなどに搭載すればアシストモーターへの電力供給も可能で、アイドリングストップを高機能化できます。従来のアイドリングストップの約2倍の燃費改善効果率を目指しているそうです。
ほかにもメリットがあり、アイドリングストップ車は頻繁にエンジンのオン/オフがされますが、電気抵抗の小さなニッケル水素に優先的に電流が流れるため、鉛電池の負担軽減、寿命延長にも期待できるそうです。
実用化されれば、パナソニックですからまずはトヨタ車に搭載されるはずですが、トヨタ車の燃費向上の切り札として登場することが十分考えられます。同時に、パナソニックは、マツダのアクセラやビアンテにもアイドリングストップ専用バッテリーを納品しています。マツダがこれからも25Vのキャパシタ方式にこだわっていくのかにも注目です。
(塚田勝弘)