日本車の走りに味がない原因がわかった!

マツダ車のSKYACTIV化が進んでいます。エンジン、トランスミッション、ボディと部分的またはすべてが進化してスカイアクティブへと置き換わっていっています。

今回、小型7人乗りミニバン、プレマシーのエンジンとミッションがSKYACTIV化されました。

現行モデルは1年半くらい前に登場し、そのとき乗った時も「おー、ミニバンなのにスポーツセダンのように走る!」という印象だったんですが、今回はスカイアクティブのエンジンとミッションが搭載され、さらにドライバーが「ミニバンなのに楽しめる走り」になっているといいます。どこがどうかわったんでしょう?

外観は、マツダ側からの説明でも「これほど見た目に変わっていないマイナーチェンジは当社初!」というくらい変わっていません。印象的な波を打ったようなボディサイドのラインもそのままです。

つまり、中身が大きく変わったわけですね。

ところが、足まわりに関してはほぼ変化ナシだそうです。唯一、高剛性ボディを得るためリヤシートクロスフレームに新開発の1500MPaの角型高張力鋼管を採用しているそうですが、難しい数字と名称ですが、とてもスゴいことかどうか、わかりません。それと、新開発の15インチタイヤを採用しているとのことです。こちらは低燃費化に貢献しているそうです。

前述のように、現行モデルになって、ミニバンと思えないような走りが楽しめるクルマになっていたわけで、その部分も大きく変化させなかったというのは足まわりに対する自信の現れでしょう。

その走りの気持ち良さを数字(グラフ)に表すとこのような感じだとのことです。

コーナリングしている際、一番沈み込むはずの曲がる方向の逆側のフロントタイヤ(右に曲がるなら左前)に一番仕事(=グリップ)をさせて曲がらせる、ということなのだそうです。

そのために、そのタイヤの車高を沈み込ませてあげるんだそうです。

さらにその時、フロント内側のタイヤは浮き上がってないことが重要なのだそうです。

そのような傾向にあるのがメルセデスベンツEクラス(W124)とかポルシェ・ケイマンだったそうです。W124など、現在のレベルからではボディ剛性もそれほど高いわけではないのに、安定感のあるコーナリングだったのは、同じように「コーナリング外側のフロントタイヤの沈み込み」だったんだそうです。しかも、ドライバーはロールしてる感覚も少ないんだそうです。

へー、と思いながらもうひとつ、教えていただきました。

しかし、これらは現行モデルのプレマシーが登場した時から変わっていない部分、おさらいです。

実はプレマシーのシャシーは、現在のCX-5がフルスカイアクティブを搭載するにあたり、その直前のモデルとして開発が進められたそうで、ホントはスカイアクティブシャシーと言いたいくらい、のデキだそうなんです。

といった基礎知識をもちつつ、マイチェン前後のプレマシーに乗せていただきました。

まずはマイチェン前。

走り始め、アクセルレスポンスもよく、ハンドリングも心地よいです。やっぱりネガな意味でのミニバンらしさはほとんど感じられず、走って楽しいクルマになってます。

一番感じるのは、例えばレインボーブリッジから大黒PAに向かうような一定のコーナーを同じ舵角で走るような部分。高速から降りてきているのでスピードも乗りがちですが、最初に切っただけで曲がっていってくれる、切り足し、戻しをせずに曲がれていく感じです。

なわけで、前モデルでも十分じゃん、と思いましたが、ニューモデルに乗ると、ぜったいコッチがいいと思います。

スカイアクティブエンジン/ミッションを搭載した違いがハッキリわかります。

走り出しのレスポンスの良さ、と旧型を褒めておきましたが、ある意味レスポンス良過ぎでした。エンジンのレスポンスはいい=エンジン回転がすぐに上がる、わけで、望みの回転数になったわけではなかったのです。

これが、新型では、走り出したアクセル開度、スピードに沿って回転もジワジワと上がる感覚です。マニュアルシフトに近い感じです。

さらに減速は顕著です。アクセルを緩めると、それなりに減速してくれます。国産車の多く、特にCVTの車両にこの傾向は多く感じれられますが、アクセルを放してもほとんど速度が下がらず、前走車に近付いてしまいブレーキをかけてしまう、というシーンがあります。よく聞く、サンデードライバーにありがちな前車に近付くまでアクセル踏んで、近付いたらブレーキをかける、ON/OFF運転になりがちな原因とも考えられます。

スカイアクティブを搭載した新型プレマシーは、この言わば空走部分がなくなることでアクセルに対しクルマが思い通りに動く感覚、つまり運転が楽しい、気持ちいいんです。

と、このように、ハンドルを切ったら切っただけ気持ち良く曲がる、アクセルを踏んだり放したりすると、思ったように速度が変化する、というのがマツダの狙いでそれがかなり実現できているのを実感しました。

日本車が楽しくない、気持ちよくないと言われがちなひとつの原因もこの辺にあるのかもしれません。

JC08モード燃費も、今回新開発の15インチタイヤ「ダンロップエナセーブ300」装着車は16.2km/hとなっており、確実に燃費は向上し、細かい点ではスペアタイヤを廃してタイヤ修理キットとし、ラゲッジ下の床下収納部分を深く大きくした点もマイチェンのポイントです。

プレマシーは走って楽しくサイズなりにミニバンとしての使い勝手も十分に満足いくクルマになっているといえるでしょう。ミニバンが好きで走りも好きな人も、いわゆるミニバン的な走りがイヤでミニバン嫌いになった人にもおススメできる一台です。

(小林和久)

マツダプレマシー>>>http://www.premacy.mazda.co.jp/

 

 

 

 

 

 

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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