2月に入ってTVニュースなどで盛んに報道されるようになった中国の大気汚染問題。春先には偏西風に乗ってさらに大量の汚染粒子が日本まで飛来すると予想されているようです。
中国では1月初めから東部や内陸部を中心に工場や車の排気ガスなどに含まれる「PM2.5」という極めて小さな粒子の濃度が高くなり、高速道路などでは視界不良で追突事故が多発、道路が閉鎖される程の深刻な汚染状態が続いていると言います。
汚染粒子「PM2.5」はスス(黒色炭素)や有機物、硫酸塩などが混じった大気浮遊粒子で殆どが直径2.5μm以下の微小粒子状物質。
中国環境保護省が2月4日、「1月に発生した有害物質を含む濃霧が国土の4分の1に及ぶ、約6億人に影響を及ぼした」と明らかにした事から、世界中のメディアが一斉に報道を開始。大きな反響を呼んでいる状況。
同省は「大気汚染の被害は北京をはじめ全国17の省、直轄市、自治区に広がっており、毎年1500万台ずつ自動車が増え続ける中、70%前後の都市の大気が環境基準を満たしていない」と指摘。
問題となっている大気汚染は天災では無く人災だけに、突然発生する種のモノでは無く、同国の厳しい報道規制下で情報が制限されていただけで、それが国民の目にも明らかな状態になった事で公表せざるを得なくなったものと推測されます。
朝日新聞などによると、中国の排気ガス汚染対策が進まない背景には環境保護省よりも国営石油企業の方が力が強く、硫黄分を多く含むディーゼル燃料の浄化処理が遅々として進まないことが大気汚染に大きく影響しているとか。
そのような状況の中、事態打開に向けて環境保護省が大気中の「PM2.5」の濃度を2015年までに5%下げるという政府目標を打ち出した模様。
とは言え、既に日本でも九州をはじめ西日本でPM2.5の値が基準値を超えた地域が出始めており、もはや他所事では済まない状況になりつつあります。
環境省は今回も「ただちに健康に影響が出るレベルではなく、冷静な対応を」と呼びかけているようですが、専門家によると、「PM2.5」を吸い込むと、肺の奥や血管に入り込み、喘息や不整脈などを発症させる恐れがあるほか、肺がんの増加にも繋がると指摘しています。
実際、北京では通常よりも目の細かい業務用マスクが飛ぶように売れているそうで、日本でも特に風の強い日の外出時は自己防衛するに越した事は無さそうです。
今まで中国が経済発展を優先して来た結果が大規模なスモッグとなって顕在化した訳ですが、国民や隣国への深刻な健康被害を食い止めるには、いっそ手のひらを返して排気ガスが綺麗な日本車への買い替えを奨励する方が手っ取り早くて効果的かも。
今後日本製のHVやPHV、EV、クリーンディーゼルの需要が急速に高まるかもしれません。
■竹村准教授Webサイト 大気汚染粒子 拡散予測 「SPRINTARS」
http://sprintars.riam.kyushu-u.ac.jp/forecastj_movie_casu.html
■環境省大気汚染物質広域監視システム「AEROS」
http://soramame.taiki.go.jp/
■気象庁 黄砂予測情報
・予測図 http://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/index.html
・実況図 http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/dusthp/