カースタイリング出版が主催する、2012-2013日本カーデザイン大賞が決定されました。カーデザインを主なテーマとするメディアであるカースタイリングは、紙媒体としては現在休刊状態なのですが、日本カーデザイン大賞は毎年選定しています。今回も、量産車部門、研究車(コンセプトカー)部門としてカーデザイン大賞が決定され、さらにカーモデリング大賞も決定されました。
2012年は世界的に見ても多くの量産車/コンセプトカーが登場した時代でしたが、デザイン分野での最優秀作品の選考となるとかなり難航を極めました。そのなかで、上記のうち2部門でアテンザの受賞が決定しました。選考委員は、フリーランスライターの松尾良彦、畔柳俊雄、千葉匠、フリーランスデザイナーの和田智、カースタイリング出版の代表取締役、藤本彰、古庄速人の各氏と、そして元編集長の私、松永大演という、従来よりカースタイリング誌の製作に関わったメンバーです。以下、3部門の受賞車をご紹介します。
2012-2013 日本カーデザイン大賞 (量産車部門) マツダ・アテンザ
コンセプトカー靭(しなり)のテーマを活かし、ダイナミズムと迫力に押されがちな昨今のトレンドのなかで、スリークさも表現できています。なによりも、多くの人が惹かれる形を実現できた点が大きいでしょう。これまで細分化してきていた、日欧米のデザインの溝を埋める存在でもあると思われます。
2012-2013 日本カーデザイン大賞(研究車部門) レクサスLF-LC
スピンドルグリルの実用化の行く末が未知数でもあるなかで、模範的なひとつの回答ともいえるモデルでしょう。スピンドルグリルありきではなく、全体のスタイリングコンセプトのなかでスピンドルグリルの存在意義を明確化しています。表現にやや過剰な部分はありますが、多くの人々にわかりやすい存在となっています。今後のレクサスの量産車に対する発想の源となる存在であると同時に、今後いかにシンプルなかたちのコンセプトカーや量産車が提案されていくかに期待が持たれます。
2012-2013 日本カーモデリング大賞 マツダ・アテンザ
モデリングの高いセンスを感じさせる仕上がり、と判断されました。過剰でない造形と、均整の取れたプロポーションの美しさが魅力的です。また、安全対応のボディ構造などを言い訳にしないフォルムにも着目しました。また、コンセプト、エンジニアリングなどに及ぶ、製品としての一貫したフィロソフィをどんな視点からでも感じられます。それはモデリングの分野でも同様で、共通の思想のなかで生まれたことを明確に感じられます。「私はどんなクルマなのか」ということが、形から伝わってきます。
今回は実に多くのクルマが選考対象となりましたが、個性的なモデルがどんどん増えてきています。多くのアジアメーカーの発展によって、これから先はさらに車のありかたが多岐にわたるようになってきます。そのなかでコンセプトに立脚したデザイン要素の重要度はさらに増える、というよりは本質的なものになってくるでしょう。さらに魅力的なクルマが登場することは、期待されることではなく、必須の要素となってくるのではないでしょうか。
詳細は以下、カースタリングのウエブサイトで確認できます。
http://ameblo.jp/car-styling/entry-11444060875.html