航空機メーカーの「BOEING(ボーイング)」と自動車メーカーの「BMW」が12月12日、機体や車体などへのカーボンファイバー導入を推進する為、生産技術やリサイクルの研究で協力することで合意したと発表しました。
これにより、自動車と航空機という業種の垣根を越えて大手同士が連携する形となり、両社はカーボンファイバー生産プロセスのシミュレーションでアイデアを共有。加工工程で発生する端材を回収して共同で再利用すると共に、航空機やクルマが将来廃棄処分になった場合の再利用技術についても共同で研究を進めるようです。
カーボンファイバーは軽量かつ高剛性な素材であることからクルマの運動性能や燃費性能向上への効果が期待されていますが、現状ではコストが高いのがネック。
BMWはカーボンファイバー量産によるコストダウンを目指しており、既に航空機などへの採用で豊富な経験を持つBOEING社と共同で研究することにしたという訳です。
BMWは2013年後半にカーボンファイバーを使用したEV仕様の「i3」、続いてPHV仕様の「i8」と2車種の投入を予定しており、両社はカーボンファイバー製造工程の自動化についてもシミュレーションやアイデアを共有して取り組むとしています。
カーボンファイバーはアクリル繊維を約1000度の高温で焼いた繊維で「軽くて強い」のが特徴。強度はスチールの約9倍で、ゴルフクラブのシャフトや釣り竿などにも利用されています。
787型機では直径5ミクロンのカーボンファイバーの糸を何重にも束ね、樹脂で積層した後に焼結して利用しているようで、その使用量は機体全重量の約50%にも及ぶ模様。
胴体や主翼への採用で大幅な軽量化が可能になり、従来機に比べて20%もの燃費効率向上を実現したといいます。他機種と比較してもカーボンファイバーの使用量は圧倒的。
同機の主翼やボディの主要パーツの製造に三菱重工業や川崎重工業、富士重工業といった日本メーカーが携わっていることは広く知られていますが、カーボンファイバーに於いても日本の繊維メーカーである東レ、帝人、三菱レイヨンの3社が世界で7割のシェアを握っています。
今回のBOEINGとBMWの提携に先立ち、VWも傘下のランボルギーニを通じて既にBOEING社と共同研究に乗り出すなど、カーボンファイバー素材の大口ユーザー間でコラボするケースが増えており、アルミニウムより30%軽く、スチールよりも50%軽いカーボンファイバーは今後、自動車の軽量化にとって無くてはならない素材となって行くようです。
■BOEING 公式HP
http://www.boeing.com/
■BMW 公式HP
http://www.bmw.com/com/en/index.html
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