日産の「DATSUN」ブランドは2014年にロシアで復活始まる!

日産自動車㈱が1934年の同社発足以降、海外向けのブランド名として長く使って来た「DATSUN」ブランドを復活させる動きが有るのは以前に『日産が「DATSUN」ブランドを復活!?』でご紹介したとおり。

12月12日に同社が発表したロシアでのシェア拡大に向けた合弁会社設立がどうやらその「キー」になりそうです。

アフトワズとルノー・日産アライアンス初の共同開発車「LADA ラルグス」

ロシアでは未舗装で広大な未開の荒野が多く残されているため、SUVの需要や価格面で小型車の需要が高まる傾向が続いていると言います。

同国に於けるブランド別販売ランキングでは1位が同国最大の自動車会社で「LADA」ブランドを展開する「アフトワズ」社、2位が小型セダン「クルーズ」の販売が好調なGM(シヴォレー)、3位がコンパクトカー「リオ」が好調なKIA、4位がトヨタ、5位がVW、6位がヒュンダイ、7位が僅差で日産と続きます。

アフトワズ社の主力車種 LADA プリオラ

ロシアでは中間層が拡大しており、日産のカルロス・ゴーンCEOは2020年までに同国の新車販売台数が2011年比で50%増の400万台/年を超える欧州最大の市場に成長すると予測している模様。

そうした状況を踏まえ、日産は「ルノー・日産アライアンス」がロシアの国営企業「ロシアン・テクノロジー」との合弁で「アライアンス・ロステック・オートBV」を設立すると発表しました。

カルロス・ゴーンCEO

同国で販売第1位の「アフトワズ」社を傘下におさめてロシアに於けるシェア拡大を狙うようで、具体的には2014年6月までに7億4,200万ドル(約615億円、うち日産:312億円)を投資して合弁会社「アライアンス・ロステック・オートBV」の67.13%の株式を取得。

さらにこの合弁会社を通じて「アフトワズ」社の株式74.5%を取得し、同社の経営権を獲得する流れのようで、アフトワズと合弁会社双方の会長にカルロス・ゴーンCEOが就任する模様。

最終的に合弁会社の出資比率は、ルノーが50.1%、日産自動車が17.03%、ロシアン・テクノロジーが32.87%となるようです。

日産ロシア サンクトペテルブルグ工場

「ルノー・日産アライアンス」は2011年にロシアで約30万台を販売していましたが、今回の「アフトワズ」経営権取得に伴い、「LADA」ブランドの車両販売台数が加わることで約87万9,000台となり、ロシア市場におけるシェアが約33%にまで拡大。

3社の世界販売台数は昨年ベースで800万台を超え、世界販売台数で第3位の規模に浮上。

日産ロシア サンクトペテルブルグ工場

2016年以降には「ルノー・日産アライアンス」と「アフトワズ」のロシアにおける生産拠点全体で170万台/年以上を生産する計画と言い、ロシアで40%のシェアを獲得する考えとか。

アフトワズ LADA ラルグス

前置きが長くなりましたが、そこで出てくるのが表題の「DATSUN」ブランドの復活。 

「アフトワズ」社が12月12日、合弁会社設立発表と同期して、Web上で『自前のプラットフォームをベースに日産のデザインセンターがボディのデザインを担当、設計を「アフトワズ」と日産のエンジニアが協力しながら「DATSUN」ブランドの2014年前半の「復活」に向けて準備中で、既に耐久試験用の試作車も完成している』と発表。

ルノー・日産 「DATSUN」、アフトワズ 「LADA」

「アフトワズ」は日産の開発・製造ノウハウを共有できることを歓迎しているようで、「消費者にモダンで安全な魅力有る車を提供していく考え」としています。

ロシア生産の拡大で世界シェア第3位への浮上を狙う「ルノー・日産アライアンス」が「DATSUN」ブランドの復活に向けて準備していることはやはり間違い無いようで、今回のロシアでの合弁会社設立とも密接に関係しているものと推測されます。

■ABTOBA3(アフトワズ)公式HP
  http://www.lada-auto.ru/

■ABTOBA3 「DATSUN」関連情報
  http://www.lada-auto.ru/cgi-bin/xml1.pl?step=view_one_news&bind1=121 

■日産ロシア公式HP
 http://www.newsroom.nissan-europe.com/ru/ru-ru/Home/Welcome.aspx

 (Avanti Yasunori) 

【写真ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】https://clicccar.com/?p=207363

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
続きを見る
閉じる