日本時間の11月7日午後、米国大統領選挙で共和党ロムニー氏を抑えて民主党のオバマ大統領が再選を果たしました。
オバマ氏の大統領再選の決め手となったのはオハイオ州やミシガン州の支持を獲得したことによるもので、いずれも自動車産業が古くから根付く地域。
特に自動車が主要産業であるオハイオ州は今回も激戦州となり、オバマ氏が2009年にGMやクライスラーが経営危機に直面した際に6兆円余りの公的資金を投入して救済復活させた実績を強調したのが奏功した模様。
1964年以降の大統領選挙では、オハイオを制した候補者が最終的な勝利を収めて来た経緯が有り、「この州を落としたら大統領に当選出来ない」とまで言われることから、今回も、両候補が最後まで頻繁に現地入りして遊説を重ねたと言います。
今回のオバマ氏の勝利州を地図にプロットすると、GM、フォード、クライスラーといった「ビッグスリー」が本社を置く自動車産業が盛んなミシガン州を含めた五大湖周辺の州を手堅く取り込んでいる事が一目瞭然に。
一方、地図上で囲んだオバマ氏の勝利州の廻りを取り囲むのが対立候補となった共和党ロムニー氏の勝利州で、ィンディアナ州、ウエストバージニア州ケンタッキー州に食い込んだ形となっています。
共和党のロムニー氏は元々ミシガン州出身で、父親もかつて同州の州知事を務めていながらも、リーマン・ショック後にビッグスリーが経営破綻に追い込まれた際、「政府支援を行わず、むしろ倒産させるべきだ」と主張したことで、重要なオハイオ州で支持数を伸ばせず、オバマ氏に敗れる結果に。
米国では如何に自動車産業と政治が密接な関係にあるかがこのような所からも伺えます。
今回の再選に伴い、オバマ大統領は民主党が上院の多数派を占め、共和党が制する下院とのねじれの中で、引き続き財政の立て直しや失業率の改善などの課題に取り組むことに。
一方で、オバマ政権は日本で懸案となっているTPPを利用して米国製品の日本市場への参入促進を図っていますが、自動車については米国内で以前から複雑な状況となっています。
と言うのも、米国側の自動車への関税率は2.5%でトラックは25%もある事から、もし仮に日本がTPPに参加すれば、利益を得るのは結局日本企業側となる為、米国の自動車業界は日本のTPP参加に反対しており、日本も対応を決めかねている状況。
普天間基地移設問題なども含めて、課題山積の日米関係ですが、折からの中国との関係悪化や欧州経済が減衰する中、逆に急速な発展を見せるASEAN地域と共に、米国は日本にとって無くてはならない大きな市場であることに変わりは無く、今後も新生オバマ政権での動きが注目されます。