クルマの個性ってこういうことだったんだ【プジョー208】

我々の世代(40代)って、比較的個性を大切に、と教えられつつ、人と違ったことをするとへんな目で見られて育ってきたほうだという気がします。

クルマの世界も安全性や環境性能や居住性なんかの求められることが同じようなもののせいか、出来上がった製品も「最近のクルマは個性がないよなぁ」なんて声をよく聞きます。

みんなが優等生を目指し、そこそこの大学に入るのを目標にしているような感じでしょうか。

なんでそんな書き出しかというと、プジョー208は“個性”とか“特徴”みたいな部分が明らかに他と違うと言える部分が多く感じられたからです。

ちょっと驚くのがこちらの写真。

こうして見ると違和感がありませんが、フツウはスピードなどのメーターはハンドルの内側に見て確認するものです。

ところが、ご覧のようにプジョー208では、メーターをハンドルの上から確認するようにできてるんです。

そういう部分がいくつかあります。

外観デザインも「特別にこの部分が」というよりも、全体的に現代のプジョーらしく、かつ前傾姿勢的でいかにも走ってくれそうです。

インテリアも先ほどのメーターのほかに、シート柄、間接照明など、オシャレな要素がいいモノ感を出しています。

乗り心地もそのひとつ。堅くないんだけどシッカリしているんだけど乗り心地がいい。昔からプジョーの足まわりは「ネコ足」と表現され、しなやかだと評されますが、208でもそう感じられます。コンパクトなクラスなのに、ミドルセダン以上の乗り心地感です。しかも、それがキビキビ走って楽しく感じられます。

変速機が4ATだったり、ぶつからない装置がついてなかったりといったスペック上では他社の最新モデルに適わない部分もありますが、目の当たりにして乗ると、そんなことがクルマの魅力じゃないでしょ!という気にさせてくれます。

昨今、クルマは所有するものから必要な時に借りて使うのが賢い、という風潮もあります。それはそれで否定しませんが、いつも持っているケータイで時刻はわかるけど、やっぱりファッションにあわせて腕時計も付けたいように、クルマもその人の個性を表す意味でも所有したいものです。

プジョー208は、「最近のクルマってどれも同じでつまらないから所有しない」というかたにこそ乗って、所有して満足できそうなクルマだなと、そう感じました。

(小林和久)

 

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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