助手席がそのまま車いすに!1億総介護時代に向けて、知っておきたい介護車両【脱着シート付き車編】

福祉車両には、車いすのまま乗り込む事の出来るスロープ付き車両や、リフト付き車両の他に、車外にせり出したシートに車いすから移乗して乗り込むリフトアップシートと呼ばれるタイプがありますが、トヨタからはその両方の利点を兼ね備えたトヨタ ウェルキャブ サイドアクセス車 と言うクルマが発売されています。

写真のトヨタ ウェルキャブ スペイド サイドアクセス車 脱着シート(手動式)+専用車いす仕様は、純正シートをベースとした脱着シートを採用する事で、車いすから移乗する事無くクルマに乗り込む事が出来るだけでなく、長時間のドライブでも、市販の自操式車いすで移動する場合に比べ、乗員の疲労を軽減させる事や衝突時の安全性向上が目的とされています。

脱着式シートは、純正のシートをベースとする事で、ヘッドレストやシートバックが標準車に装着されるものとほぼ同じ形状となる為、自操式車いすに比べ、安全性もかなり高いと言えます。

サイドアクセス車 には手動式脱着シートの他、自操も可能な電動式脱着式シートや、専用車いすも同様に搭載できる事から、近隣の移動や、降車後は介助者が付き添えない場合にも対応しています。

手動式の脱着式シートは自操する事は出来ませんが、介助用車いすとして、ハンドブレーキやストッパー、可倒式フットレストもしっかり装備されています。

また電動式脱着シートにはジョイスティックレバーが装備され、介助者の操作だけでなく、自操する事も可能です。

但し脱着式シート電動タイプは電動車いす扱いになる為、ヘッドレストを装着したままですと、1090mmという高さ制限を超えてしまう為、車外に出る際はヘッドレストを取り外さなくてはなりません。

やむを得ない場合は所轄警察署長への確認を受ける事が出来ればヘッドレストを装着したまま電動車いすとして使用する事が可能ですが、乗車中の安全性を確保するにはヘッドレストは必需品である事からも電動式脱着シートには、むしろヘッドレストの装着を義務付けして欲しいと感じました。

専用の手動式車いすも、脱着式シート同様サイドアクセス車への対応とシートベルトが正しい位置に装着出来るような構造とし、ヘッドレストの装着により乗車時に安全性を確保。

市販の自操式車いすに近い形状の専用手動式車いすは、重量が軽い事もあり自操だけでなく、介助者への負担も軽減されます。

移乗の負担を減らしつつ、乗員の快適性も確保した上、用途に応じて自操式専用車いすも搭載可能な サイドアクセス車は乗員にも、介助者にも優しい福祉車両と言えそうでが、今後の課題としてはヘッドレストを脱着する事無く公道走行を可能できる電動車いすへの道交法対応や安全性と快適性を確保しつつ、より介助者にも優しい軽量な脱着式シートの開発が望まれます。

(井元 貴幸)