日産自動車、2012年のパリモーターショーにおいて、ゼロ・エミッションSUVのコンセプトカー「TeRRA(テラ)」 を公開すると発表しました。
「ムラーノ」など、アーバンSUV/クロスオーバーをベースとすることで、日産の得意とする「SUV」と、リーフにより先行する「EV」という2つのファクターを一体にまとめたコンセプトカーということです。
そのパワートレインは3モーターにより構成されます。フロントにはリーフのモーターをそのまま搭載。リヤは左右にインホイールモーターを配置することにより駆動する四輪駆動となっています。プロペラシャフト、リヤのドライブシャフトをなくしたことで居住性やラゲッジスペースに余裕をプラスできるのが、この方式のメリットでもあるとか。
そして電気を生み出すのは、日産が長年にわたって研究している燃料電池。水素を燃料に発電するわけで、水を排出するのみ。まさにゼロ・エミッションなのです。
しかも、燃料電池ユニットは、従来型(2005年式)に比べて、使用する貴金属を1/4に、そしてコストは1/6まで下げることができたといいます。
そうしたゼロ・エミッションと未来感はインテリアでも表現されています。木製のドアパネルと色付きのアクリル、肩の高さで取り囲むメタルフレームなどなど、ウッドとメタルのコントラストでキャビンの雰囲気を統一。
また、メーターはタブレット型となっていますが、これはスマートキーも兼ねているとのこと。タブレットをインパネに差し込むことでシステムが起動、クルマを発進させるということです。
同じゼロ・エミッション車において、航続距離においてEVより有利といわれる燃料電池車(FCV)ですが、普及にはそのコスト高が問題視されている部分もありました。しかし、こうして燃料電池のコストが順調に下がっていけば、実用化の目処も立ちそうです。もちろん、水素供給インフラ整備という次なる問題はあるわけですが、インフラさえあれば、いつでもFCVを市販できますよ、という日産のアピールが、このコンセプトカーの狙いといえそうです。
(山本晋也)