クルマ好きも認める日本車デザイン実現への大胆な秘策とは?

日本車のデザインが欧州車などに比べて勝っているといった声は余り聞かれず、全てとは言わないまでも未だにその逆のケースが多いようですが、その原因は一体何なのでしょうか? その理由と対策について考察すべく、思いつくところを4点ばかりざっくりと挙げてみました。

①乗用車の歴史の差 ?
②ユーザー側の国産車コンプレックス ?
③海外デザイナーとの力量差 ?
④自動車メーカー内の経営・販売サイドの影響力? 

まずは①「乗用車の歴史の差 ?」から。

日本の国産大衆車の歴史は1960年前後から50年余り。一方、ドイツの国民車であるVWビートルの生産が1945年からなので、さほど歴史に大きな違いは有りません。韓国車デザインの急成長ぶりを見ても歴史の長さの問題だけでは無さそうです。

では②「ユーザー側の国産車コンプレックス ?」はどうでしょうか。

1800年代後半に起きた「文明開化」じゃありませんが、確かに「西洋のものなら何でも良い」といった舶来品に憧れる風潮はどういう訳か今も尚日本人に根付いているような気がします。

次に③「海外デザイナーとの力量差 ?」

一般的に日本人はモノを立体で捉える能力が欧米人に比べてやや劣ると言われますが、日本のN社からAudiに移籍して作品を多数創出した日本人デザイナーの例も存在します。 

また近年はデザイン工程がバーチャル化しており、コンピューター上で立体を確認しながら意匠する時代なので、造形センスさえ良ければクリアできそうな課題と言えそうです。 

続いて④「自動車メーカー内の経営・販売サイドの影響力? 」

大きな変化を好まない安定志向の日本人気質を考えるとこれは確かに有るかもしれません。デザイナーに求められるのは商品が世に出る数年先を読んだデザイン。 しかしそれを社内で評価する経営・販売サイドは「今それを出して売れるかどうか」的な「現在」基準。当然ながら両者の間には歩み寄りが困難な壁が存在します。

時代を先取りした斬新な意匠を提案したとしても発売後に市場で売れなければ社内評価が下がる為、デザイナーに潜む「売れない」ことへの恐怖は大きい筈。結果的に止む無く営業サイドの声に屈して万人ウケする意匠に修正する羽目に。 

以上のような切り口で見て行くと、大胆な解決策が必用である事がおのずと見えて来ます。
それは何かと言うと…

・会社トップにトレンド予知能力に長けた目利きの「カー・ガイ」を据えてトップダウンでデザイン決定。
・欧州などからも優れたカーデザイナーを積極登用してデザインレベル全体を底上げ。(VWも現在はイタリア人の著名デザイナーが総責任者)

これにより日本車のデザインがクルマ好きも認める国際レベルに最短で到達すると思うのですが、如何でしょうか。ちょっと ワイルド過ぎ?

Avanti Yasunori) 

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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