BMW6シリーズグランクーペを見て日本車に必要なものはデザインだと思った訳とは?

見た目のカッコ良さを最優先して創られたBMW6シリーズ・グランクーペは、誰もが乗ってみたい、欲しいと思わせる艶がある。

タイヤを横幅いっぱいに配置し、フロントのオーバーハングを短くし、ボンネットには微妙なうねりを創り、ボディサイドには前衛的なラインを彫り、全身から溢れ出るアスリートのような筋肉質のスポーティさとフォーマルドレスを着込んだようなエレガントさの両方が感じられる。

メルセデスベンツCLSのヒットから世界中の高級車メーカーが4ドアクーペを登場させたが、BMWも北米の美味しい市場を放って置くわけにはいかず追い掛け、遅ればせながら創り上げた。あと出し「じゃんけん」だから、カッコ良いことが条件なのは判っている。だからこんな力作ができたのだろう。

日本車ではカッコ良いから買おうと思わせるクルマは残念ながらほとんどない。デザイナーが創り上げた作品を経営陣や営業が理解できなくてボツになったのか、誰もが違和感のないデザインを要求されたために作れないのか、素晴らしいデザインを作り上げる時間が足りないのか、その理由は色々あるだろう。

そもそも日本の4ドアセダンの市場はとても小さくなってしまった。タクシーかパトカーか、ショーファードリブンの社用車がそのほとんどで、個人オーナーの4ドアセダンはドイツ車が占めている。昔のようにトヨタならクラウン、マークⅡ、コロナ、カローラ、日産ならセドリック、ローレル、ブルーバード、サニーというように4ドアセダンがずらっと並ぶことはなくなった。

日本には入ってきてないが、韓国に行ってヒュンダイ・ソナタを見たときに衝撃を覚えた。北米市場ではトヨタ・カムリ、ホンダ・アコードとライバルになるモデルだ。でもソナタは断然カッコイイ。ソウル市内でタクシーに乗るときも、ボクはソナタを選ぶようになっていた。乗ってみたいと思わせるクルマだからだ。

ヒュンダイソナタ

日本のメーカーにがんばってもらいたいのは、まずデザインだろう。

(菰田 潔)

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