「ジープの機能美展2012」で見かけた異様なカタチの乗り物、カイザーM274A4。朝鮮戦争やベトナム戦争で物資の軽輸送に使用された四輪駆動車。
荷台だけ、むしろ佐川急便の台車にハンドルなどをつけたようなカタチ。でもタイヤを見ると四輪操舵。いったいどういう仕組みなの?
エンジンは丸パイプのラダーフレームにぶら下がってリアに納まっています。サスペンションはありません。
エンジンはリアデフ一体のトランスファーに直結のようです。そこからフロントに向かってプロペラシャフトが伸びています。デフの下側に操舵用のステアリングロッドが見えます。
フロントデフ周り。デフの上の若干手前側に運転席から来たステアリングロッドが見えます。このロッドはリンケージを介してデフカバーを貫通し、フロントのロッドを動かしています。そして、ロッドの延長側はリアデフにまで達し、同じ構造でリアを操舵します。
ドライビングポジションの視線から見たM274。実はクルマってこれだけの操作系で動いちゃうんですね。
赤いプレートは操作方法を示したもの。前進3段、四輪駆動は2段変速。トランスファーにニュートラルがあるので後輪二輪駆動も可能なようです。牽引時の注意書きもあります。プラットフォームとホイールにはマグネシウム合金を使ってる、という注意書きも。
全ての操作系はロッドによって伝達されます。このロッドだけで四輪操舵やアクセルクラッチ、ブレーキを制御しているというのも、現在のクルマから比べるとえらくシンプル。
これまたナンバーが付いていて、日本の国内を普通に走ることができます。種別は小型特殊になっていますね。建機などと同じ扱いのようです。
上屋はシンプルですが、下回りは立派にジープしてますね。これこそ機能美ではないでしょうか。
(北森涼介)