7月末に発表になる、6代目ミラージュ。12年ぶりに復活となる6代目はグローバルカーとして環境性能に重点を置いたエコカーになるようです。
ミラージュといえば、1978年に初代モデルが登場し、ラインナップにはセダンと3ドアハッチバックが存在しましたが、やはりイメージとしては3ドアハッチが強いですよね。
その中でも記憶に残っているのは87年に登場した3代目。
特に1.6LDOHCインタークーラーターボを搭載するサイボーグは、ダートラやジムカーナ等の競技でも良く見かけました。
3代目ミラージュは走りのサイボーグ、標準グレードとなるスイフト、女性向けモデルのファビオと解かりやすいグレード体系でしたが、実は登場時、もうひとつ遊び心満載のグレードが存在していました。
その名は「XYVYX(ザイビクス)」。はっきりいって、フリガナが無いと読み方すら解らない、かなり謎なグレードです。
エクステリアはご覧の通り、リヤのサイドウィンドウが塞がれており、斜め後方の視界はゼロ。
写真のモデルはサイボーグに装着されていたエアロバンパー仕様ですが、標準的なザイビクスはスイフトやファビオと同じ形状のバンパーにスチールホイールと言う組み合わせで、見た目は小ぶりな現金輸送車のようなエクステリアでした。
「リヤウィンドウが無いと言う事は、後部座席が真っ暗ではないか?」という心配はご無用! 後部座席はありません。
そう、3ドアハッチバックでありながら、2シーターなのです。
では後部のスペースはカーゴスペースかと言えば、そう言った訳でもなく、三菱としては自由に使っちゃってください! というコンセプトだったようです。
”クリエイティブスペース”と三菱が名づけたその空間は、今でいうところのフリードスパイクのような使い方を提唱していたようです。
しかし三菱はこのままユーザー任せのクルマにすることなく、ザイビクスのスペースを有効に使えるオプションを数多くラインナップしていました。
まずはルーフですが、標準ルーフの他に前後2分割のグラストップを持つデュアルグラストップ仕様、フロント側がグラストップ、リヤ側に豊富なオプションを組み込む事の出来るカプセルを装着した、マルチトップ仕様が存在しました。
このマルチトップのカプセル内には、6インチのテレビモニターをビルトインしたシアターステーション等があり、停車中の車内でテレビを鑑賞する事が可能。
このシアターステーションの鑑賞方法も特殊で、、フロントシートにシートバックハンモックと呼ばれるものを装着し、カプセルからプルダウンするモニターを後ろ向きに見上げるように鑑賞するスタイルでした。
他にも、9つのスピーカーで迫力あるサウンドを楽しめるサラウンダムシステムや、ユーティリティギア、デュアルグラストップに装着できる、キャリアトップ等が存在していました。
ザイビクスのパワーユニットは2種類あって、1.5L直4SOHC12Vを搭載するザイビクス1.5と、1.6L直4DOHC16VのザイビクスDOHC 16Vが存在しましたが、どちらも驚くべきことに、トランスミッションは5MTのみという設定。また、パワーウィンドゥはオプションでした。
そんな、ミラージュザイビクスでしたが、あまりの奇抜さゆえか売れ行きも伸びず、マイナーチェンジされる事も無くカタログから姿を消しました。
当時でも走ってる所を見かける事は殆ど無く、今となっては超激レアグレードとなっています。
サーキット等でシビックとライバル関係にあり、表舞台で活躍していたミラージュサイボーグの影には、こんな激レアグレードもあったんですね。
(井元 貴幸)