D型レガシィに搭載されるFA20ターボ/FB25エンジンは新世代BOXERとしてEJ25エンジンに変わり、スバルの中心的エンジンになって行く事は間違いなさそうですが、実は新世代BOXERと呼ばれる、FA、FB型エンジンはEJ型に慣れ親しんだユーザーからはちょっと驚きのサービスデータがあります。
それはエンジンオイルの規定量。
これまでのEJ25ターボエンジンではオイル交換のみで約4.0L。オイルエレメントも交換して約4.2L。
しかしFA20ターボエンジンでは、オイル交換のみで約4.9L。オイルエレメントも交換するとなんと約5.1Lも入ります。
なぜオイル量が増えたのか? その要因のひとつとして、FAエンジンを初め、次世代BOXERエンジンのカムシャフトの駆動方式に秘密があります。つまり、FAエンジンだけでなく次世代BOXERエンジン第1号とも言われるFB20エンジンにも同じ秘密があるのです。
2010年の9月に発表になり、SH型フォレスターに搭載されているエンジンですが、このFB20エンジン以降、カムシャフトの駆動にはEJエンジンで用いられて来たタイミングベルト方式から、タイミングチェーンに変更されています。
タイミングチェーンは、タイミングベルトより歴史が古いのですが、近年は騒音やメンテナンスの面からベルト駆動の方が有利とされる傾向もありました。しかし最近では技術の向上により、チェーンのメンテナンスフリー化、騒音の低減が可能となりタイミングチェーンを採用する事となりました。
チェーン駆動にした場合、タイミングベルトの様に交換の必要性が無くなるわけですが、代わりに潤滑の為にエンジンオイルを用いなくてはならない為、エンジンオイルの規定量が増えました。
ちなみにBOXERエンジンでチェーン駆動を用いているのは、フォレスターの2.0L NA車に搭載されるFB20、BRZに搭載されるFA20、D型レガシィに搭載されるFA20ターボ、FB25のほか、実は随分前からチェーン駆動を採用しているエンジンがあります。それは3代目レガシィから4代目レガシィまで搭載されていたEZ30 6気筒エンジン。
EZ30は6気筒でありながら4気筒のEJ20とほぼ同サイズのコンパクトさを実現するため、チェーン駆動を用いたとも言われています。
もちろん現行型レガシィアウトバックにも搭載されるEZ36エンジンもチェーン駆動です。
ちなみに現行モデルの新世代BOXERエンジン搭載車のエンジンオイル交換のみの場合の規定量は下記の通り
フォレスター 2.0L NA車(FB20) 約5.0L
インプレッサ1.6L・2.0L NA車(FB16・FB20) 約4.8L
BRZ(FA20) 約5.2L
レガシィ2.0Lターボ車(FA20ターボ)約4.9L
レガシィ2.5L NA車(FB25) 約4.6L
レガシィ3.6LNA車(EZ36) 約6.3L
BRZのFA20エンジンは低重心化の為にオイルパンの形状を薄くしたにも関わらず、これだけのエンジンオイルが必要となるんですね。
タービンにもオイルを供給しなくてはならないターボ車よりもオイルの量が多いのもちょっと驚きです。
これまでのEJ系からの乗り換えで、新世代エンジン搭載車にオイル交換をする場合、特にDIYでされる方等はエンジンオイル不足に気を付けた方がいいかもしれません。
(井元 貴幸)